浅田 次郎 雑感
『浅田次郎』のプロフィール
1951年東京生まれ。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞を受賞。以降、『鉄道員(ぽっぽや)』で1997年に第117回直木賞、2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞、2006年『お腹(はら)召しませ』で第1回中央公論文芸賞・第10回司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞、2010年『終わらざる夏』で第64回毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞を受賞するなど数々の文学賞に輝く。また旺盛な執筆活動とその功績により、2015年に紫綬褒章を受章、2019年に第67回菊池寛賞を受賞している。他の著書に『プリズンホテル』『天切り松 闇がたり』『蒼穹の昴』のシリーズや『憑神』『赤猫異聞』『一路』『神坐す山の物語』『ブラック オア ホワイト』『わが心のジェニファー』『おもかげ』『長く高い壁 The Great Wall』『大名倒産』『流人道中記』など多数。2011年から6年にわたり、第16代日本ペンクラブ会長も務めている。
引用元:浅田次郎 | 著者プロフィール | 新潮社
『浅田次郎』について
『浅田次郎』という作家は、一言で言うと「職人」という言葉がぴたりと嵌まる、そんな作家さんです。巷では「平成の泣かせ屋」との異名もあるというのも納得です。
とにかく、人の心の琴線のその中でも涙を誘うポイントを緻密に知り尽くしていて、そのポイントを縦横についてきますす。
もちろん、その前提として十分な文章力を有したストーリーテラーとしての力量があるからこそのことです。
文章力については、『天切り松-闇がたりシリーズ』の項でも書いているように、その台詞回しが粋で見事なのは、浅田次郎本人が江戸っ子であり、黙阿弥に影響を受けていることにあるらしいという十八代目中村勘三郎氏の言葉があります。
その文章のあまりの表現の上手さに時には「あざとさ」さえ感じてしまいました。文章の上手さではなく、テクニックとしてのセンチメンタリズムではないのか、と思ったのです。
しかし、やはり上手さは上手さとして素直に感じるべきだと今では思っています。
浅田次郎は、当初は『きんぴか』であるとか、『プリズンホテル』であるとか、悪漢小説の書き手であったそうです。
その後映画化もされた『地下鉄に乗って』で1995年には吉川英治文学新人賞を受賞し、同様に映画化され1999年の第23回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『鉄道員(ぽっぽや)』で1997年の直木賞を受賞しています。
大ベストセラー作家としての浅田次郎という作家については多くを語る必要もないでしょう。
読み始めたのが2014年である私は何故もっと早く読まなかったのかと後悔しているだけです。