高田 郁

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角川春樹事務所

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本書『あきない世傳金と銀 シリーズ』は、『みをつくし料理帖シリーズ』が一大ベストセラーとなった高田郁が放つ、大坂商人をテーマにした小説です。

大坂天満の呉服商へ女衆として奉公を始めた一人の女性の、困難を乗り越えて生きていく姿を描く物語で、読みごたえのある、面白さ満載の物語です。

あきない世傳金と銀シリーズ(2022年10月09日現在 完結)

  1. 源流篇
  2. 早瀬篇
  3. 奔流篇
  4. 貫流篇
  5. 転流篇
  1. 本流篇
  2. 碧流篇
  3. 瀑布篇
  4. 淵泉篇
  5. 合流篇
  1. 風待ち篇
  2. 出帆篇
  3. 大海篇

 

あきない世傳金と銀 シリーズ』の簡単なあらすじ

 

武庫川の河口域にある津門村で、学者であった父重辰の庇護のもと育ったでしたが、いわゆる享保の大飢饉で兄雅由を亡くし、続いて父をも疫病で亡くしてしまいます。

そのために九歳で大坂天満の呉服商「五鈴屋」へ女衆として奉公に出ることになるのでした。

五鈴屋には、まわりからは「阿呆ボン」と呼ばれるほどの遊び人である四代目徳兵衛の長男、商才はあるのですが他人への思いやりを持たない二男の惣次、戯作が好きな坊っちゃんである三男の智蔵という兄弟がおりました。

そして彼らの祖母の富久がいて商売に目を光らせるなか、番頭の治兵衛が店の実質的な切り盛りをしていました。

死んだ兄からの「知恵は生きる力になる」という言葉を抱いていた幸は、元来の知識欲に火がつき、貪欲に商いについて学んでいきます。そのことに気が付いたのは番頭の治兵衛であり、三男の智蔵でした。

ここから、幸の大坂商人としての人生が始まり、生き抜いていく姿が描かれるのです。

 

あきない世傳金と銀 シリーズ』の感想

 

みをつくし料理帖シリーズ』は料理の世界を舞台にした、一人の娘の成長譚でしたが、今回の『あきない世傳金と銀 シリーズ』では大坂商人の世界、それも呉服商を舞台にしての一人の少女の成長譚です。

 

 

九歳という年齢で女衆として大坂の商店に奉公し、幸の才能を見抜いた治兵衛らの手助けもあり、商売の基礎からを勉強していく幸です。

その後思いもかけない出来事が重なり、五鈴屋のご寮さんとなります。第七巻の時点で江戸へと進出していますが、今後の新たな展開が待たれます。

それはまた、幸自身の更なる成長する姿を追いかけることにななるのでしょう。

 

大坂商人というアクの強い世界で成長していく娘の姿は、かつて見ていた『細うで繁盛記』というドラマを思いだしていました。

新珠三千代という往年の美人女優を主人公とし、冨士眞奈美が憎まれ役を演じたこのドラマはかなりの人気をはくしました。

同時に思いだしていたのが、『細うで繁盛記』の原作『銭の花』を書いた花登筺の別な作品である『どてらい男』というテレビドラマです。

「株式会社山善」という実在の商社がモデルであり、花登筺の同名小説を原作としたドラマです。西郷輝彦が主演をしており、大阪立売堀の機械工具問屋を舞台にした物語でした。

 

 

大坂商人の姿を描いた物語といえば、あの山崎豊子の作品に、デビュー作である『暖簾』、吉本せいをモデルにして直木賞を受賞した『花のれん』、船場の老舗足袋問屋を描いた『ぼんち』などの作品があります。

どの作品も私が若い頃に読んだ作品であり、今はもうそのあらすじも覚えてはいませんが、大阪商人のど根性を描いていて、一気に読んだ記憶があります。

 

 

本『あきない世傳金と銀 シリーズ』は、読み始めてすぐにこれらの大坂商人を描いた作品を思い出しながら読み進めたほどに、大坂の商売人の在りようを良く調べて描き出してあります。

また、このシリーズの主人公の幸も、前シリーズの『みをつくし料理帖シリーズ』の主人公の澪を思い起こさせる魅力的なキャラクターであり、今後の展開にも期待の持てそうな始まりでした。

実際、巻を読み進めるにつれストーリーが意外な方向へと展開し、読み手も物語に引きずられてしまいます。

期待にたがわない読み応えのあるシリーズになっていて、続巻が出るのが待たれるシリーズになっています。

 

そして、2022年8月に本『あきない世傳金と銀 シリーズ』もついに完結してしまいました。

最終巻を手に取るまで、終わりが近いとは思っていたものの十三巻の『あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇』をもって完結とは知らなかったので驚きました。

終わってみれば物足りなさを感じる、というのが正直なところですが、それは本シリーズを楽しみにしていたファンの勝手な言葉といえます。

ただ、作者の高田郁氏には長い連載に対してお疲れさまでした、というべきでしょう。

そしてまだ早いかもしれませんが、読者としては高田郁の新しい作品を待つばかりです。

[投稿日]2018年04月01日  [最終更新日]2022年10月9日
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