『警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ』とは
本『警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ』は、警視庁捜査一課に属する碓氷弘一警部補の活躍を描く警察小説シリーズです。
『警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ』の作品
『警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ』について
本『警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ』は、碓氷弘一という警視庁捜査一課刑事を主人公とする警察小説です。
階級は少なくともシリーズ第二巻『アキハバラ』までは部長刑事となっていますが、後には警部補になっています。昇進の時期が分かり次第ここで修正します。
この主人公の碓氷弘一は、十歳の娘と六歳の息子を持つ部長刑事ですが、このまま定年までを無事に勤めあげることだけを考えている人物です。
今野敏の描く警察小説では主人公となる刑事が他者の眼を気にする描写がよくあります。
たとえばベストセラーシリーズの一つである『安積班シリーズ』の主役の安積警部補は、班長として班員の心中を気にする場面が多々ありますし、『警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ』の樋口顕警部補も同様に、常に他人の眼、上司の評価が気にしつつ職務に邁進する人物として描かれています。
これらのことは本シリーズ第一巻『触発』の新装版解説で関口苑生氏も同様のことを書いておられます。
刑事といっても一人の人間であり、殆どの場合は時間に関係なく忙しさに追われる職場を抱えながらも、妻や子供たちに対する何らかの悩みを抱えるサラリーマンとしての側面を持つ存在としての側面をも描き出してあるのです。
本シリーズの主役碓氷弘一の場合、上司の評価や第三者の目を意識する側面が特に強い存在として描かれています。
シリーズ第一巻での爆弾魔事件においても、自分が爆破予告の第一報を受けていたのに爆発が起きたことは自分のミスであり退職までの経歴に傷がついたとして、その名誉回復こそが犯人を逮捕するという強い動機となっているのです。
また、その際に碓氷弘一を叱りつける上司として名前も示されていないべらんめえ口調で話す課長が出てきますが、これが今野敏の作品の重要な役者の一人となる捜査一課の田端守雄課長ではないかと思われるのです。
今野敏の作品ではこうした役者たちが共通して登場するというのも楽しみの一つでもあります。
ちなみに、2017年4月と2018年11月に、本シリーズの『エチュード』と『マインド』を原作としてテレビ朝日でドラマ化されています。
主人公の碓氷弘一はユースケ・サンタマリアが演じ、相棒として相武紗季や志田未来らが出演していたそうです。