宇江佐 真理

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文藝春秋

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髪結い伊三次捕物余話シリーズ(2015年11月 完結 )

  1. 幻の声
  2. 紫紺のつばめ
  3. さらば深川
  4. さんだらぼっち
  5. 黒く塗れ
  6. 君を乗せる舟
  7. 雨を見たか
  8. 我、言挙げす
  1. 今日を刻む時計
  2. 心に吹く風
  3. 明日のことは知らず
  4. 名もなき日々を
  5. 昨日のまこと、今日のうそ
  6. 月は誰のもの
  7. 竈河岸(へっついがし)
  8. 擬宝珠のある橋

 

主人公の伊三次は、廻り髪結いのかたわら北町奉行所同心の不破友之進の十手を預かる身です。本書は、不破友之進とその下っ引きとしての伊三次が種々の事件を解決していく捕物帳形式の連作短編集です。

 

しかし、主題は主人公の伊三次とその恋仲の深川芸者のお文との日常にあって、その二人を取り巻く人々の暮らし、想い、といった人情話が展開されていきます。「捕物余話」であって「捕物帖」ではないのも、その点に考慮したものではないでしょうか。本格的なミステリーを期待する人には向かないかもしれません。

しかし、丁寧な江戸の町の情景描写や四季に移ろいに対する配慮など、その視線は繊細で暖かです。読後には、心地良いひと時を過ごせたという満足感が残ります。

 

デビュー作の短編「幻の声」はオール読物新人賞を受賞し、シリーズの第一冊目となった『幻の声』という本は第117回直木三十五賞候補にもなりました。

私にとって、伊佐治とお文という二人の姿が人情味豊かに語られるこの物語は、人情時代小説といえばまず最初二思い浮かぶシリーズとなっています。

このシリーズは第9作の『今日を刻む時計』で一気に年月が経過し、話も伊佐治や不破友之進の子らの話に重点が移っていくのです。

 

山本周五郎や藤沢周平といった大御所と比較しても決して引けを取らない作品群が並ぶ作家として楽しみにしていた人でしたが、残念ながら2015年11月に死去されてしまいました。

このシリーズも第十六作の『擬宝珠のある橋』を最後に終了となってしまいました。

 

本筋とは離れますが、このシリーズの挿絵が良い。日本画風のその絵は宇江佐真理と言う作家の丁寧なその文章が作り出す雰囲気をしっかりと捉え、切り取っていると感じます。

[投稿日]2015年04月06日  [最終更新日]2018年11月6日
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