『安積班シリーズ』とは
本シリーズは新設された警察署を舞台にした刑事たちの活躍を描く警察小説です。
謎解きや刑事たちの操作を描くというよりも、刑事部屋の刑事それぞれの人間性や、刑事たちの人間関係を描いているシリーズです。
『安積班シリーズ』の作品
安積班シリーズ(2024年09月18日現在)
- 二重標的 東京ベイエリア分署
- 虚構の殺人者 東京ベイエリア分署
- 硝子の殺人者 東京ベイエリア分署
- 蓬莱
- イコン
- 警視庁神南署
- 神南署安積班
- 残照
- 陽炎 東京湾臨海署安積班
- 最前線 東京湾臨海署安積班
- 半夏生 東京湾臨海署安積班
- 花水木 東京湾臨海署安積班
- 夕暴雨 東京湾臨海署安積班
- 烈日 東京湾臨海署安積班
- 晩夏 東京湾臨海署安積班
- 捜査組曲 東京湾臨海署安積班
- 潮流 東京湾臨海署安積班
- 道標 東京湾臨海署安積班
- 炎天夢 東京湾臨海署安積班
- 暮鐘 東京湾臨海署安積班
- 秋麗 東京湾臨海署安積班
- 夏空 東京湾臨海署安積班
『安積班シリーズ』について
こ『安積班シリーズ』は、当初は「東京湾臨海署(ベイエリア分署)」だった舞台が「神南署」、また「東京湾臨海署(ベイエリア分署)」と変化しています。
最初は「東京湾岸の新副都心構想をにらんで新設された」シリーズだったものが、バブルが崩壊して副都心の開発計画そのものが停滞していくなか現実に即さなくなったので、新たに「神南署」をもうけ安積班自体をそこに異動させたそうです。
しかし、湾岸開発が再び軌道に乗り始め、ふたたび「東京湾臨海署」、通称「ベイエリア分署」が復活したとありました(『虚構の殺人者 東京ベイエリア分署』解説 : 参照 )。
そのシリーズが今や今野敏の代表作の一つとして人気シリーズとなっているのです。
私は警察小説としてはエド・マクベインの87分署に一時期はまったことがあるのですが、組織ではなく個々人のキャラクターが書き分けられているのがその最大の魅力でした。
本シリーズを読んでいてその87分署シリーズを思い出しました。
チーム内の個々人を描写する場合、その各人をまとめる人物が更に描けてなければ面白くないのは勿論です。
本『安積班シリーズ』の場合、安積剛志警部補ということになるのですが、この安積警部補に関して言えば、細かいところにこだわり常に部下の顔色を伺う普通の人間として描かれています。
しかし、そうは言いつつも要所を締めるそのさまが良いのでしょう。今野敏と言う作家の力量が示されている非常に面白いシリーズとして大人気の作品になっているのです。
その安積班の班員を見ると、まずは安積がその内心をとても気にしている村雨秋彦部長刑事がおり、大橋武刑事とコンビを組んでおりその指導に当たっています。
村雨の指導は安積班の一番の若手とである桜井太一郎巡査にも及び、彼ともコンビを組むことがあります。
次に須田三郎部長刑事とその相棒の黒木和也刑事がいます。
須田はその小太りの外見から推測されるのと異なり、深い洞察力をもつ思慮の深い人物で、その相棒の黒木は引き締まった体形の持ち主でスポーツが得意で剣道五段の腕前を持っています。
このほか、後には水野真帆部長刑事が参加してくることになりますが、もともとはテレビドラマのキャラクターだったものが、原作にも登場するようになったそうです。
その他の登場人物としては、安積警部補に強烈なライバル心を燃やしている相楽啓警部補がおり、最初は警視庁本庁勤務だったものが、後に東京湾臨海署刑事課強行犯第二係の係長として赴任してくることになります。
忘れてならないのは、安積の警察学校同期だった警視庁交通機動隊所属の速水直樹小隊長がおり、シリーズの要所要所で顔を見せることになります。
ちなみに、本シリーズはテレビでは佐々木蔵之介主演で「ハンチョウ」としてドラマ化され、好評なようなのでご存知の方も多いでしょう。
『ハンチョウ〜神南署安積班』としてシーズン4まで、その後佐々木蔵之介演じる安積剛志の異動に伴い『ハンチョウ〜警視庁安積班』としてシーズン5、6が放映されています。