東京都内でバイクを利用したコンビニ強盗が連続発生。しかも国道246号沿いに集中している。警視庁の覆面捜査チーム“トカゲ”にも召集がかかる。上野数馬と白石涼子は捜査本部が置かれた世田谷署へと急行、新設されたIT捜査専門組織・警視庁捜査支援分析センターも総動員されるが、解決の糸口が見つからない…。漆黒のライダーはどこへ消えたのか? (「BOOK」データベースより)
本作品のメインとなる「トカゲ(TOKAGE)」とは、刑事部の中から選ばれている覆面捜査専門のバイク部隊で、事件発生時に必要に応じて招集されるチームです。
彼らはその機動力に応じ、通常ではできにくい捜査を行います。一作目ではメガバンク行員の誘拐事件を、二作目ではバスジャック事件に絡んだネットを利用した事件を、そして本作では多発するコンビニ強盗事件は発生し、バイクの機動力が要求されるのです。
本作の見どころはまさにオートバイです。本シリーズの主人公とも言える上野数馬は、バイクでのパトロール中に風景をまるで写真のように捉え、後でその写真を見直すことが出来るのです。つまりは写真の連写のように風景を記憶していくのです。本作品のタイトルもこのことを指しています。本作でもその能力を十分に生かし、事件を解決に導きます。
ただ、事件解決のヒントがTOKAGEのメンバーからしか出てこないという点は、気になる点ではあります。そうした観点はベテランの捜査員であればまず出てくると普通は思われるのです。
しかしながら、本シリーズのように読者はただその流れに乗って運ばれていくことこそ楽しみであるような、物語の展開に乗ればいい物語ではそうした点は織り込み済みのこととしていいのでしょう。
実際、このシリーズはテンポのいい展開こそ楽しみでしょうから尚更です。