今野 敏

イラスト1

東京都内でバイクを利用したコンビニ強盗が連続発生。しかも国道246号沿いに集中している。警視庁の覆面捜査チーム“トカゲ”にも召集がかかる。上野数馬と白石涼子は捜査本部が置かれた世田谷署へと急行、新設されたIT捜査専門組織・警視庁捜査支援分析センターも総動員されるが、解決の糸口が見つからない…。漆黒のライダーはどこへ消えたのか? (「BOOK」データベースより)

本作品のメインとなる「トカゲ(TOKAGE)」とは、刑事部の中から選ばれている覆面捜査専門のバイク部隊で、事件発生時に必要に応じて招集されるチームです。

彼らはその機動力に応じ、通常ではできにくい捜査を行います。一作目ではメガバンク行員の誘拐事件を、二作目ではバスジャック事件に絡んだネットを利用した事件を、そして本作では多発するコンビニ強盗事件は発生し、バイクの機動力が要求されるのです。

本作の見どころはまさにオートバイです。本シリーズの主人公とも言える上野数馬は、バイクでのパトロール中に風景をまるで写真のように捉え、後でその写真を見直すことが出来るのです。つまりは写真の連写のように風景を記憶していくのです。本作品のタイトルもこのことを指しています。本作でもその能力を十分に生かし、事件を解決に導きます。

ただ、事件解決のヒントがTOKAGEのメンバーからしか出てこないという点は、気になる点ではあります。そうした観点はベテランの捜査員であればまず出てくると普通は思われるのです。

しかしながら、本シリーズのように読者はただその流れに乗って運ばれていくことこそ楽しみであるような、物語の展開に乗ればいい物語ではそうした点は織り込み済みのこととしていいのでしょう。

実際、このシリーズはテンポのいい展開こそ楽しみでしょうから尚更です。

[投稿日]2016年12月23日  [最終更新日]2016年12月23日

おすすめの小説

おすすめの警察小説

推理小説の分野は佳品が多く絞ることが難しい分野ですね。いろいろな毛色の警察小説です。個人的な、あくまで個人的な参考意見だと思ってください。
犯人に告ぐ ( 雫井 脩介 )
とある誘拐事件が発生し、県警本部長の曾根は、かつて起きた誘拐事件で誘拐された子供が殺されてしまうミスを犯した巻島史彦特別捜査官をテレビに出演させる手段を思いつき、巻島に命じるのだった。
制服捜査 ( 佐々木 譲 )
札幌で刑事として長年勤務していた川久保篤巡査部長が、十勝の田舎の駐在さんになり、さまざまな事件を解決する、かなり読み応えのある小説です。
尾根を渡る風 ( 笹本 稜平 )
『「山岳+警察」小説』というのが惹句にあった文句ですが、どちらかというと『春を背負って』に近い、ミステリーというよりは、人間ドラマメインの連作短編集です。
警官の血 ( 佐々木 譲 )
親子三代にわたり警察官となった男達の人生を描く大河小説です。2007年の日本冒険小説協会大賞を受賞し、直木賞のノミネート作でもあります。
新参者 ( 東野 圭吾 )
卒業―雪月花殺人ゲームを最初とする「加賀恭一郎シリーズ」は、この作家の「ガリレオシリーズ」と並ぶ超人気シリーズです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です