『霧笛荘夜話』とは
本書『霧笛荘夜話』は、2004年11月にKADOKAWAから刊行され、2017年11月に角川文庫から320頁の文庫として出版された短編小説集です。
運河のほとりにある古いアパートの管理人の老婆が六人の住人について語る、せつなさあふれる短編集です。
『霧笛荘夜話』の簡単なあらすじ
とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。法外に安い家賃、半地下の湿った部屋。わけ知り顔の管理人の老婆が、訪れる者を迎えてくれる。誰もがはじめは不幸に追い立てられ、行き場を失って「霧笛荘」までたどりつく。しかし、「霧笛荘」での暮らしの中で、住人たちはそれぞれに人生の真実に気付きはじめるー。本当の幸せへの鍵が、ここにある。比類ない優しさに満ちた、切ない感動を呼ぶ7つの物語。(「BOOK」データベースより)
『霧笛荘夜話』について
本書『霧笛荘夜話』は、運河のほとりにある古いアパート「霧笛荘」の管理人の老婆が六つの部屋に住んでいた六人の住人について語る、全七編のせつなさあふれる短編小説集です。
港の見える部屋」
「鏡のある部屋」
「朝日のあたる部屋」
「瑠璃色の部屋」
「花の咲く部屋」
「マドロスの部屋」
「ぬくもりの部屋」
連作短編集と言ってもいいくらいに、それぞれの話の登場人物が少しづつ関連しているのですが、物語自体は独立した話として成立しています。
そして、それぞれの話は、通常の「幸せ」な生活からはずれた人生を送らざるを得ない、「不幸せ」な人生を送っている人たちの、切なさあふれる物語です。
しかしながら、ここに登場する人たちは、皆自分の自分の人生に正直に、そして一生懸命に生きようとしている人たちです。
浅田次郎は、通常の「幸せ」の基準とは合わない、自分の生に真剣に立ち向かう人々へエールを送っているようでもあります。
浅田次郎のユーモアに満ちた物語からすると、本書はかなり暗い分野に属しますので、こうした物語は苦手という方もいるかもしれません。
しかし、浅田次郎の美しい文章で語られる切ない物語は、やはり心に染み入る浅田次郎の物語です。
この物語に関しては、イメージCDが出されています。試聴してみると、バイオリンの高嶋ちさ子、ピアノの加羽沢美濃らの演奏で、心地よく、美しいメロディーが聞こえてきました。右のイメージリンクからAmazonへ行き、是非試聴してみてください。
