有川 ひろ 雑感
『有川 ひろ』のプロフィール
高知県生まれ。2004年、第10回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作『塩の街』でデビュー。続く『空の中』『海の底』(アスキー・メディアワークス)で一躍注目を集める。「図書館戦争」シリーズは本編完結後もアニメ化などで大ブレイクを続け、2010年には『フリーター、家を買う。』(幻冬舎)がドラマ化、2011年には『阪急電車』(幻冬舎)が映画化されるなど、その作品は多分野にわたり話題を呼んでいる。「ダ・ヴィンチ」(2012年1月号)〈BOOK OF THE YEAR 2011 総合編〉で『県庁おもてなし課』(角川書店)が第一位を獲得、〈好きな作家ランキング女性編〉でも第一位など、幅広い世代から支持を受ける。『シアター!』(メディアワークス文庫)『キケン』『ストーリー・セラー』『ヒア・カムズ・ザ・サン』(新潮社)など著書多数。
『有川 ひろ』について
この作家の作品には悪人がいません。根底に相手、若しくは仲間に対する信頼があり、対立していて厳しい言葉を投げかける関係でも、主人公が困難に直面した場面など、場合によっては救いの手が差し伸べられたりします。
作品自体がきちんとした状況説明が為され、登場人物の性格にメリハリがつけられていて、全体の構成がしっかりとしているので、普通の文章で日常を語っていても場面が理解しやすいのだと思います。ですから、実に読みやすいのです。
有川ひろは「ライトノベル作家」だそうです。これはご本人もそう公言しているので間違いのないところなのでしょう。
ライトノベルとは言ってもその定義は定かでないようで、概して対象読者が中・高校生だということは言えるのでしょうか。そのためか、ライトノベルの中には人物造形が浅かったりして物語自体にも深みを欠く、と感じられる作品もあるようです。
その点でも有川ひろの作品は概ね安心でき、そう考えればこの有川ひろという作家の読みやすさも分かります。
浅田次郎が五代目中村勘九郎との対談の中で、歌舞伎も小説も「学問の延長上に置いて」はいけない、「庶民の娯楽」であるべき、ということを言われています。
その流れで行くとライトノベルという何となく格下に見られがちなジャンルであっても、逆に若者への娯楽の提供という意味では先頭を走っているのかもしれません。実際、面白い作品は沢山あるのですから。
「図書館戦争」は「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第一位、2007年度本屋大賞で第五位、「図書館戦争」シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞など、その他の作品でも数々の賞を受賞しておられます。
ちなみに、有川ひろは、2019年2月にペンネームの表記を「有川浩」を「有川ひろ」へと変更されました。