学校と音楽をモチーフに少年少女の揺れ動く心を瑞々しく描いたSchool and Musicシリーズ第一弾は、校舎屋上の音楽室に集う鼓笛隊おちこぼれ組を描いた表題作をはじめ、少女が語り手の四編を収録。嫉妬や憧れ、恋以前の淡い感情、思春期のままならぬ想いが柔らかな旋律と重なり、あたたかく広がってゆく。(「BOOK」データベースより)
ちょっと毛色が変わった、と言っていいのか、音楽が主題となった青春小説と言っていいのでしょう。
『一瞬の風になれ』や『しゃべれどもしゃべれども』とは少々リズムが違います。もしかしたら、読み手によっては受けつけないかもしれません。私も、この二作品程にはのめりこむことができませんでした。
しかしながら、音楽を主題に青春期の繊細な心の動きを描いた、佐藤多佳子ならではの作品だと思います。骨太な作品を好む人には向かないでしょうが、繊細な感性をお持ちの方など、この手の作品を好きな人もいるでしょう。