『みをつくし料理帖シリーズ』は、「天満一兆庵」の江戸での再興を願い料理の道を進む娘を描く長編の人情時代小説です。
大坂で焼失した「天満一兆庵」ですが、江戸で蕎麦屋「つる家」の主人・種市の力を借りて働く澪の姿は心を打ちます。
みをつくし料理帖シリーズ(完結)
- 八朔の雪
- 花散らしの雨
- 想い雲
- 今朝の春
- 小夜しぐれ
- 心星ひとつ
- 夏天の虹
- 残月
- 美雪晴れ
- 天の梯 完結編
みをつくし料理帖シリーズ 特別巻(完結)
巻ごとに紡ぎ出される主人公澪の料理に対する思い、そして、その澪の思いに応えようとする主人公を取り巻く人々の心は、作者の文章の優しさにもマッチしてさわやかな読後感をもたらしてくれました。
主人公を襲う様々な試練に対し、ただひたすら一生懸命に料理を作り、皆に喜んでもらおうとする澪の生き方は、読者に小さな感動をもたらしてくれると思います。
この作者の「雑感」にも書いたように、優しいその文章は若干物足りなさを感じるかもしれませんが、決して時間の無駄と感じることはないでしょう。
本シリーズは岡田理知の画で、全三巻として漫画化もされています。
また、主人公澪を黒木華が演じてNHKの「土曜時代ドラマ」枠で全八回としてテレビドラマ化され、またスペシャル版も放映されています。
さらにはテレビ朝日でも北川景子主演でドラマ化されていますが、こちらはDVD化されていないようです。
そして、松本穂香が主演で角川春樹自身が監督となり映画化され、2020年10月に公開されています。
残念なことに、本『みをつくし料理帖シリーズ』は2014年8月09日発売の「天の梯」をもって完結しました。