高田 郁

あきない世傳金と銀 シリーズ

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大坂天満の互服商「五鈴屋」は、天災や大不況など度重なる危機を乗り越え、江戸進出に向けて慎重に準備を進めていた。その最中、六代目店主の智蔵が病に倒れてしまう。女房の幸は、智蔵との約束を果たすべく立ち上がった。「女名前禁止」の掟のもと、幸は如何にして五鈴屋の暖簾を守り抜くのか。果たして、商習慣もひとの気質もまるで違う江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を根付かせたい、との願いは叶えられるのか。新たな展開とともに商いの本流に迫る、大人気シリーズ待望の第六弾!(「BOOK」データベースより)

 

「あきない世傳金と銀」シリーズの第六巻目「本流篇」です。

 

前巻の終わり、卯月朔日に五鈴屋店主六代目徳兵衛こと智蔵が急逝しました。本書はその初七日の法要の場面から幕を開けます。

二七日を過ぎても悲しみに沈む間もなく幸には次から次へと難題が降りかかります。

まずは、天満組呉服仲間からの「女名前禁止」という掟がありました。跡目のことを六代目の忌明けまでに寄合での許しを得る必要があったのです。

そしてまた、四代目徳兵衛が重傷を負った新町廓の呼屋の泉屋の番頭という男が、四代目の子がいると言ってきたのです。五鈴屋の跡目のことを考えるまでもない、新たな候補者の出現でした。

これらの問題に、幸はどのように対処するのでしょうか。

 

相変わらず幸の身の上には難題ばかりが降りかかります。

第四巻目の貫流篇の項で、「幸が一番力を発揮できるような環境を整えた」と書き、また「この作者のことですからまた意外な設定を準備しているのかもしれません。」と書いたのですが、前巻のような終わり方をするとは思ってもみませんでした。

たしかに、「幸が一番力を発揮」してはいくのですが、女としての幸せはやはりその手から逃げて行ってしまいます。作者は、商売という戦場で勝ち抜くためには女の幸せは不要、といっているかのようです。

そうした苦労ばかりを背負っている幸の姿をあまり暗くもなく、悲しみの中にも強く、そしてたくましく描き出して違和感を感じさせないのは作者の力量というほかはないのでしょう。

 

そうした悲しみを乗り越え、ついには江戸への出店を果たし、新たな商いの戦へと乗り出す幸の姿が描かれています。

これまでの大阪での商売とは異なる慣習の中での新規出店には私らの思いもよらない困難が待ち構えていることでしょう。

今はまだ間口二間半という小さな店ですが、これからの五鈴屋の発展を大いに期待して見守りたいと思います。

[投稿日]2019年06月22日  [最終更新日]2019年6月22日
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