浅田次郎

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椿山課長の七日間』とは

本書『椿山課長の七日間』は、2002年9月に朝日新聞出版から刊行され、2015年2月に集英社文庫から456頁の文庫として出版された、長編のコメディ小説です。

突然の死を迎えた現世に未練を残したままに死んだ三人が三日間だけ生き返るファンタジーで、とても面白く読んだ作品でした。

椿山課長の七日間』の簡単なあらすじ

大手デパート勤務の椿山和昭は、ふと気付けばあの世の入り口にいたー。そこは死者が講習を受けるSACと呼ばれる現世と来世の中間。身に覚えのない“邪淫”の嫌疑を掛けられた椿山は再審査を希望し、美女に姿を変えて現世に舞い戻ることに。条件は三つ、七日間で戻る、復讐をしない、正体を明かさない。無事に疑いを晴らし、遺り残した想いを遂げられるのか!?ハートフルコメディー小説。(「BOOK」データベースより)

椿山課長の七日間』について

本書『椿山課長の七日間』は、突然の死を迎えたサラリーマン、やくざの組長、小学生の夫々が、現世に未練を残し死にきれないと、三日間だけ生き返る長編のコメディ小説です。

 

生きているうちの容貌とは全く異なる人間として生き返った三人は、各人の思いを果たすべく心残りを果たそうとします。

それぞれの行動がユーモラスに、そして浅田次郎作品らしくペーソスに満ちた物語として仕上げられています。

文章が一人称の独白になったり、テンポのいい語りで物語が展開していくところなど、浅田次郎らしさ満開の物語ではあります。この点は毎度のことながらさすがに上手いものだと感心してしまいます。

 

しかし、各人が思いもかけない事実を見聞きして涙を誘うのですが、これまでの『壬生義士伝』を始めとする新選組三部作や『天切り松-闇がたりシリーズ』 (全五巻 集英社文庫) などの浅田作品と比べるとと少々物足りなさ感が残りました。

泣きの場面が少ないとかいうことではなく、それらの作品に比べちょっとだけ心に残るものが浅く感じてしまったのです。

結末に関しても少々辛さも残りますし、この終わり方については異論があるところかもしれません。


 

本書を原作として映画化もされています。好きな役者さんである西田敏行が出ているので見たのですが、出番が少なく残念でした。

[投稿日]2015年03月22日  [最終更新日]2025年7月31日

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