宇江佐 真理

イラスト1
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文庫

文藝春秋

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主人公は廻り髪結いのかたわら北町奉行所同心の不破友之進の十手を預かる身で、本書はその下っ引きとして種々の事件を解決していく捕物帳形式の連作短編集です。

しかし、主題は主人公の伊三次とその恋仲の深川芸者のお文との日常にあって、その二人を取り巻く人々の暮らし、想い、といった人情話が展開されていきます。「捕物余話」であって「捕物帖」ではないのも、その点に考慮したものではないでしょうか。ミステリーを期待する人には向かないかもしれません。

しかし、丁寧な江戸の町の情景描写や四季に移ろいに対する配慮など、その視線は繊細で暖かです。読後には、心地良いひと時を過ごせたという満足感が残ります。

デビュー作の短編「幻の声」はオール読物新人賞を受賞し、シリーズの第一冊目となった『幻の声』という本は第117回直木三十五賞候補にもなりました。

シリーズも十四巻を数えていますが、現在第十三巻『昨日のまこと、今日のうそ』まで読了しています。

本筋とは離れますが、このシリーズの挿絵が良い。日本画風のその絵は宇江佐真理と言う作家の丁寧なその文章が作り出す雰囲気をしっかりと捉え、切り取っていると感じます。

髪結い伊三次捕物余話シリーズ(2015年04月01日現在)

  1. 幻の声
  2. 紫紺のつばめ
  3. さらば深川
  4. さんだらぼっち
  5. 黒く塗れ
  6. 君を乗せる舟
  7. 雨を見たか
  8. 我、言挙げす
  1. 今日を刻む時計
  2. 心に吹く風
  3. 明日のことは知らず
  4. 名もなき日々を
  5. 昨日のまこと、今日のうそ
  6. 月は誰のもの
[投稿日]2015年04月06日  [最終更新日]2015年7月8日
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