藤沢 周平 雑感
(1927-1997)山形県生れ。山形師範卒業後、結核を発病。上京して五年間の闘病生活をおくる。1971(昭和46)年、「溟い海」でオール讀物新人賞を、1973年、「暗殺の年輪」で直木賞を受賞。時代小説作家として、武家もの、市井ものから、歴史小説、伝記小説まで幅広く活躍。『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』、『白き瓶』(吉川英治賞)、『市塵』(芸術選奨文部大臣賞)など、作品多数。( 藤沢周平 | 著者プロフィール | 新潮社 : 参照 )
この人の大半の作品は読んだと思います。
最初読んだときは、ある武士の日常を淡々と描き、そのまま格別の山場を迎えるでもなく終わってしまったことにあっけなさを感じたことを覚えています。それからしばらくは藤沢周平という人の作品からは遠ざかっていました。
しかし、知人から面白いからと渡されたことをきっかけに再度読み始めたらのめりこみました。以前の感じはなんだったのでしょう。
藤沢周平作品の魅力は、ストーリー展開もさることながらその文章、特に情景描写にあると思っています。町なみや田舎、山あいなどの物語の舞台があるがままに描かれ、その舞台上で登場人物が更に描きこまれ、自然な場面展開を促すのです。
前に藤沢周平作品について物足りなく思ったのは、その自然な物語展開にあったのかもしれません。
文章の美しさといえば三島由紀夫がまず挙げられると思いますが、三島由紀夫の華麗な文体とも異なる、強いて言えば『越前竹人形』の水上勉を思い出しました。
藤沢周平の作品も特定の本を選ぶことは困難です。参考程度のものと思ってください。
[投稿日] 2015年04月18日 [最終更新日] 2018年12月26日