『岬洋介シリーズ』とは
本『岬洋介シリーズ』は、天才ピアニストの岬洋介が探偵役として活躍する推理小説シリーズです。
各巻ごとの主人公は別に存在し、岬洋介は狂言回し的な存在として登場して事件を解決していきます。
『岬洋介シリーズ』の作品
岬洋介シリーズ(2024年03月31日現在)
- さよならドビュッシー
- おやすみラフマニノフ
- いつまでもショパン
- どこかでベートーヴェン
- もういちどベートーヴェン
- 合唱 岬洋介の帰還
- おわかれはモーツァルト
- いまこそガーシュウィン
岬洋介シリーズ スピンオフ(2024年03月04日現在)
- さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード) 要介護探偵の事件簿
- 煙よりも、軽く
岬洋介シリーズ 番外編(2024年03月04日現在)
- サイドストーリーズ
『岬洋介シリーズ』について
本『岬洋介シリーズ』は、ピアニストの岬洋介が探偵役として様々な謎を解決していくミステリーシリーズです。
この岬洋介というキャラクターが魅力的であり、本シリーズが成功している一番の理由でしょう。
この岬洋介という人物は、高校二年生の時に発症した左耳の突発性難聴という病を持病として抱えています。
また、一旦は司法試験に合格して修習期間まで終えたにもかかわらず、法曹の道には進まずにピアニストとして生きていくことを選んだ人物です。
つまり、司法試験合格した世界的なピアニストという身でありながらも数々の謎を解決し、誰からも好意を持たれる人間性をも持っているというまさにスーパーマン的存在なのです。
このような、現実には存在しえないと思われる人間像ですが作者中山七里の筆の力は実見魅力的な人間像を作りあげているのです。
そして、このシリーズで力説すべきは、音楽の素晴らしさを文章で表すその表現力です。
第一巻の『さよならドビュッシー』から、ミステリーとしての面白さは勿論ですが、その中で演奏されることになる各楽曲の表現力が素晴らしく、音楽好きな私も一気に惹き込まれてしまいました。
音楽を文章で表現すると言えば忘れてはならない作品として、恩田陸の『蜂蜜と遠雷』という作品があります。
この作品は日本で行われたあるコンサートの様子を参加者それぞれをかき分けながら描き出している作品ですが、文章で表現されるクラシック音楽の素晴らしさは見事なものでした。
本書はその作品にも劣らない音楽の魅力を伝えている作品だと思います。
シリーズのうち数作しか読んでいないので、また全部を読みたいと思っています。