青山 文平

イラスト1
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文庫

文藝春秋

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小普請組の御家人村上登は仁志兵輔、青木昇平と共に竹刀剣術ではなく昔ながらの型稽古を行う佐和山道場で剣を学んでいた。「大膾(おおなます)」と呼ばれる辻斬りが江戸の町を騒がせていたその頃、村上登は町人でありながらかなりの剣の腕を持つ巳乃介から一振りの刀を預かることとなるのだった。

葉室麟を最初に読んだときもその文章の格調の高さに驚きましたが、青山文平という作家の文章も見事です。硬質で透明感を持った文章で、侍として人を「斬る」ことへの若者の懊悩を剣のことさえも知らない読者に語りかけています。

また、詳しくは書けないのですが「佳絵」という人の横たわる状況の描写の臨場感はまた見事です。ここの描写だけでもいいから読んでもらいたいと思うほどです。これまで作家と呼ばれる人たちの文章の凄さには何度か脱帽させられましたが、この青山文平という人の文章もまた凄いとしか言いようがありません。

驚くことに青山文平という作家は、20年ほど前に第18回の中央公論新人賞をとったことがあるけれども、時代小説としては本作品が最初の作品なのだそうです。

本作品については、物語としての面白さは勿論のこととして、「詩的」な文章で綴られているとどなたか書いておられましたが、日本語の美しさ、表現力の豊かさを思い知らされた一冊でもありました。

[投稿日]2015年03月27日  [最終更新日]2016年1月25日
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