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逢坂 剛 雑感

1943年、東京都生まれ。中央大学法学部を卒業後、博報堂に勤務しつつ小説を書いていたそうです。

趣味としてギターを弾き、後にフラメンコギターにはまってスペインに関心が生まれたといいます。

父親は池波正太郎の『鬼平犯科帳』の挿し絵などで有名な中一弥(なかかずや)氏で、『重蔵始末』の挿絵もそうだということです。

作風は本人も語っているようにチャンドラーやハメットの影響を受けているらしく、インタビュー記事の中に「直木賞を受賞した『カディスの赤い星』などはチャンドラーへのオマージュです。」との言葉もありました。

また、「読者をいかに楽しませるかという気持ちが、逢坂作品の根底にあ」って、読み手に「虚構」と感じさせないように、「そこをいかに上手に描くか、細部のリアリティをしっかり構築するかが肝心」だとも言っておられます。

この姿勢は私が小説に対して常々思っていることなので、このような大御所が同様のことを言っておられると嬉しくなってしまいます。

重厚な冒険小説やハードボイルド小説の書き手として貴重な存在でしょう。

[投稿日] 2015年04月07日  [最終更新日] 2015年7月6日
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おすすめの小説

おすすめのハードボイルド作家(日本)

以下の各作品はハードボイルドという括りが無くても、お勧めの作品群です。
北方 謙三
私は北方謙三の原点は「ブラディ・ドール」にこそあると思っています。"男"を体現しているこのシリーズこそまずは読むべき本です。
志水 辰夫
一時期はハードボイルドと言えば北方 謙三か志水辰夫かとも言われました。「「飢えて狼」から始まる三部作は今でも色褪せません。
藤原 伊織
テロリストのパラソル」など、その文章は格調高く、この作家の作品はハードボイルドという絞りがなくても面白い作家の上位に来ると思います。
東 直己
ススキノ探偵シリーズ」では、札幌はススキノを舞台に饒舌な「俺」が活躍します。
大藪 春彦
日本のハードボイルドは、この人の「野獣死すべし」から始まりました。
大沢 在昌
新宿鮫」では、キャリアの刑事が活躍します。エンタテイメントという言葉はこの人のためにあるのかもしれません。
三好 徹
天使シリーズ」は、短編の積み重ねですが、30年も前に読んだので今の時代に合うか、若干心配です。
平井 和正
ウルフガイシリーズ」は40年近くも間に読んだ本だけど、色褪せてない、と思います。

おすすめのハードボイルド作家(海外)

他にも多数の作家がいるのですが、とりあえず私が読み、印象の強かった作家だけを挙げています。また、挙げている作品はあくまで参考です。
ダシール・ハメット
サム・スペードが活躍する「マルタの鷹」から始まるシリーズは、ハードボイルドの名作中の名作です。あくまで客観的に、ときには暴力的なその文体は、この後に続く多くの作家に影響を与えました。この人を抜きにしてはハードボイルドは語れません。
レイモンド・チャンドラー
ハメットと同じく客観的描写に勤めるその文体はハードボイルドの古典です。「ロング・グッドバイ」では主人公のフィリップ・マーロウが行動し、事件の裏を探り出します。
ロバート・B・パーカー
饒舌な私立探偵スペンサーとそれを助ける黒人の大男ホークが様々な問題を時には暴力をも使って解決します。男の「誇り」を生き方で示すスペンサー、その矜持を認めつつ自らも自立する恋人のスーザン。この二人の会話もまた魅力的です。このシリーズの中でも「初秋」は少年とスペンサーの心の交流を描き必読です。
ジェイムズ・クラムリー
酔いどれの誇り」や「ダンシング・ベア」など、翻訳の妙なのかもしれませんが、その文章は文学作品のようです。
ローレンス・ブロック
八百万の死にざま」に代表されるマット・スカダー・シリーズでは、酔いどれ探偵が活躍します。

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