R・チャンドラー 雑感
「いまさらチャンドラー、と言われるかも知れない。だけど一度はチャンドラー、なのである。」と「初心者のためのレイモンド・チャンドラー入門」というサイトに加藤篁さんという方が書かれていました。
そうなのです。ハードボイルドに魅せられたと言う以上はレイモンド・チャンドラーを見逃すわけにはいかないでしょう。あくまで客観的に描写すると言うその文体のみならず、その上手(うま)さに思わずうなってしまう小粋な会話の世界を堪能すべきです。
とはいえ、違和感を感じたのも事実です。確かに会話は小気味よく心の隅っこをくすぐられるような感じはするのですが、物語としてついていけない点もまたあるのです。背景となる社会の差なのか分かりませんが、この作家は絶対に面白いですからお読みなさい、とまでは言えません。多分、人を選ぶと思います。じっくりと読み込み、場面を楽しむ、そういう読み方の出来る人でないと面白いと感じないのではないでしょうか。
そういう意味も含めて、若干の違和感を感じている私も、近年村上春樹氏による新訳が出版されていることに触発され、再度読み直してみました。
なお、上記にはチャンドラーの長編作品しか書いていませんが、他に短編作品もあり、脚本も書いています。
[投稿日] 2015年04月28日 [最終更新日] 2015年5月18日