逢坂 剛

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文庫

文藝春秋

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「平蔵の顔を見た者は、だれもいねえのよ」。盗賊・黒蝦蟇の麓蔵は復讐を遂げるため、いまは平蔵の手先となった女に案内を頼んだ「平蔵の顔」。両国橋の界隈で、掏摸を働いていた姉弟に目をつけたところ、思わぬ大事件にあたる「繭玉おりん」。火付盗賊改・長谷川平蔵のまったく新しい魅力を引き出した六篇。特別対談・佐々木譲。(「BOOK」データベースより)

 

あの 池波正太郎の『 鬼平犯科帳』で描かれる火付盗賊改方長官、長谷川平蔵を主人公とする連作短編集です。

「平蔵の顔」「平蔵の首」「お役者菊松」「繭玉おりん」「風雷小僧」「野火止」の六編からなっています。

 

本書での鬼平は殆ど自分では動きません。探索に差し支えるということから自らの顔を人前にさらすことをしないのです。

悪人どもは仕事をするためにも、また鬼平に報復をするためにも鬼平の顔を知りたいと願い、そのことを逆手にとって、鬼平は様々の仕掛けを施し、一味を捉えるのです。それでいて、事件の全貌を見通し、人情味も見せつつ犯罪者は厳しく取り締まります

 

ただ、平蔵が様々の仕掛けを施すのは良いのですが、今度は登場人物が平蔵が予想するとおりに動き過ぎではないかという気はします。

この点については作者本人が、「最初のころはまだ自分なりの「平蔵」が固まっていなかったせいか、あまり出てこない」と言っているほどなので、本書に限ったことなのかもしれません。

 

また、作者の言葉を借りれば「私は主人公の心理描写は一切せず、周りの人々の印象でキャラクターを作り上げていくことが多」く、「この作品でもそれを踏襲してます、と言っておられます。主観を排するというハードボイルドの手法を本書でもとりいれられているということです。ただ、そのことがうまく機能しているかというと、若干疑問はあります。

 

とはいえ、あの長谷川平蔵像に挑もうとするのですから大変なことだと思います。その上で、作業は成功していると評価されているのでしょう。だからこそ2014年8月には『平蔵狩り』という作品が発表されています。この作品ではより明確に逢坂版長谷川平蔵が仕上がっていることを期待します。

 

[投稿日]2015年04月07日  [最終更新日]2019年2月6日
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