佐伯 泰英

イラスト1

空也十番勝負シリーズ(2024年02月01日現在)

  1. 青春篇 声なき蝉(上・下巻)
  2. 青春篇 恨み残さじ
  3. 青春篇 剣と十字架
  4. 青春篇 異郷のぞみし
  5. 青春篇 未だ行ならず(上・下巻)
  1. 異変ありや
  2. 風に訊け
  3. 名乗らじ
  4. 荒ぶるや
  5. 奔れ、空也

 

このシリーズは、2016年1月に完結した人気シリーズ『居眠り磐音 江戸双紙シリーズ』の続編と言ってもいいシリーズでしょう。

居眠り磐音 江戸双紙シリーズ』の主人公の坂崎磐音の嫡子である空也を主人公とし、空也の武者修行の様子が描かれています。

 

空也シリーズの第一弾目の『声なき蝉(上・下)』の「あとがき」に、著者佐伯泰英氏の父親の故郷が熊本県球磨郡だとありました。

本シリーズが、まずは熊本県の南部にある今の人吉市あたりから鹿児島に入り、薩摩を舞台としていること、第二巻の『恨み残さじ』はまさに球磨郡五木村あたりを舞台としていることに納得がいったものです。

この人吉には「タイ捨流」という新陰流の流れをくむ流派があります。この流派は上泉伊勢守秀綱の弟子丸目蔵人佐を始祖とする流派であり、本シリーズにも空也が世話になる「丸目道場」として登場しています。

 

本シリーズは青春小説としての色合いよりも、この佐伯泰英という作者による金杉惣三郎とその子清之助とを主人公とする『密命シリーズ』に似ているかもしれません。

まだ数巻しか読んでいないので確たることは言えないのですが、『密命シリーズ』の金杉惣三郎・清之助親子は剣の道にストイックに邁進する剣豪小説そのものと言ってもいいと思われますが、本シリーズは同じ剣豪ものでも少し色合いが異なるようです。

やはり、空也の成長がメインであり青春小説の側面が強く、それに磐根も身を引いたわけではなく『居眠り磐音シリーズ』の登場人物も顔を見せていますので、より庶民的な印象があると思われます。

 

 

いずれにしても、『居眠り磐音シリーズ』のあとを継ぐにふさわしいシリーズだと思われます。

 

ちなみに、『空也十番勝負シリーズ』の第五弾『青春篇 未だ行ならず(上・下巻)』をもって、「青春篇完結!」という表示がありました。

第五弾の『青春篇 未だ行ならず(上・下巻)』が五番勝負ですので、『空也十番勝負シリーズ』の中の「青春篇」が終わるのだろうとは思いますが、この後どのような展開になるものか、ただ、楽しみに待つだけです。

 

追記:

ところが、実際に2023年5月に『奔れ、空也 空也十番勝負(十)』まで刊行され、『空也十番勝負シリーズ』も無事完結しています。

それどころか、『奔れ、空也 空也十番勝負(十)』の「あとがき」で、著者佐伯泰英氏自身が『磐根残日録』を書きたいとの思いがあると書いておられます。

ということは、『居眠り磐音シリーズ』も完結せずに続行すると思ってよさそうで、楽しみに待ちたいと思います。

[投稿日]2019年03月28日  [最終更新日]2024年2月1日

おすすめの小説

おすすめの痛快時代小説

羽州ぼろ鳶組シリーズ ( 今村 翔吾 )
江戸の火消しを主人公に、「一度輝きを喪った者たちの再起と再生」を描いた長編の痛快時代小説です。かつて江戸随一の火消として、"火喰鳥"の名を馳せた男・松永源吾。しかし、ある一件の火事をきっかけに、定火消を辞し浪人として不遇をかこつ日々を送っていた。
風の市兵衛シリーズ ( 辻堂 魁 )
主人公が「渡り用人」というユニークな設定で、痛快と言うにふさわしい、とても読み易いシリーズです。
口入屋用心棒シリーズ ( 鈴木 英治 )
浪々の身で妻を探す主人公の湯瀬直之進の生活を追いながら、シリーズの設定がどんどん変化していく、少々変わった物語です。ですが、鈴木節は健在で、この作家の種々のシリーズの中で一番面白いかもしれません。
とんずら屋シリーズ ( 田牧 大和 )
隠された過去を持つ弥生という娘の「夜逃げ屋」としての活躍を描く、連作の短編集です。痛快活劇小説と言えるでしょう。この作家には他にからくりシリーズという娘が主人公のシリーズもあります。
はぐれ長屋の用心棒シリーズ ( 鳥羽 亮 )
主人公は剣の達人だが、隠居の身です。だから立ち回りも時間を経ると息切れしてしまいます。だから、同じ年寄りたちが助け合い、戦うのです。隠居とは言えまだ五十歳代の登場人物です。還暦を過ぎたわが身としては、少しの寂しさが・・・・。

関連リンク

空也十番勝負
双葉社 双葉社公式サイト
佐伯通信 | 佐伯泰英 ウェブサイト
佐伯泰英の新刊予告、著者エッセイ、編集担当者コラムを載せたミニ新聞です。
佐伯泰英6年ぶり新作「空也十番勝負 青春篇 声なき蟬」刊行|日刊ゲンダイ
空也のその後を描いた「空也十番勝負 青春篇 声なき蟬」(上・下)が来年1月6日に双葉文庫から刊行される。著者にとっては6年ぶりの新主人公だ。
居眠り磐音 江戸双紙<公式HP>‐双葉文庫
居眠り磐音 江戸双紙<公式HP>‐双葉文庫

「空也十番勝負シリーズ」への8件のフィードバック

  1. 「空也十番勝負 青春篇」の「未だ行ならず」(下)で了としたいとの佐伯泰英氏の強い願いが書かれてあったが、愛読者としては納得出来ません
    一因に、出版業界の不況をあげております
    愛読者が出版費用を集めて双葉文庫にお願いできないでしょうか

    1. そうなんですか。
      「未だ行ならず」で終わりとしたいとおっしゃっているんですか。
      残念ですね。

      でも、読者が置いていかれている印象はありますが、作者の気持ちが無いのであればどうしようもないのではないでしょうか。
      気持ちが入ってない作品は、多分面白くは無いと思うのです。

      とても残念ですが、ただ作者が翻意されることを待ちたいと思います。

  2. 空也青春編以降を、早く読みたいです!青年になってからの眉月姫との、婚姻までと、尚武館での磐音からの薫陶をよび、回りの人間模様、また睦月の婚姻、豊後関前の、状況などなど早く読みたいです!

    1. コメントありがとうございます。

      私は未だ既刊も全部は読み終えていないので、言いにくいのですが、同感です。
      青春篇の『未だ行ならず』で一応青春篇が完結した後がなかなか出ませんね。

      もともと「空也十番勝負」のうちの青春篇である筈なので、まだ続くはずですがどうなのでしょう。
      ただ、「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」が決定版として見直されているので、それが終わるまでは作者が忙しいのでしょう。
      あと数巻で終わるはずなので、その後に刊行されるのを待ちたいと思います。

  3. 「空也十番勝負シリーズ」何とか10番勝負まで何とか完成させてほしい!
    体調整えて、頑張って欲しい!!
    期待裏切らないでください。

    1. コメントありがとうございます。

      おっしゃるように『空也十番勝負シリーズ』の『未だ行ならず』が2018年12月に出されて以来、続編が刊行されていません。
      十番勝負と銘打たれている以上は続巻が出るとは思うのですが、少々間が空いているようです。

      スピンオフ的な作品は描かれているようですが、こちらはどうなるのでしょう。
      確かにファンとしては気になるばかりです。

  4. 「未だ行ならず」で青春篇が終わってしばらく休業とか書いてたが、休業の間にほかのシリーズ物が新刊として出てるのはなぜ?
    空也のその後を待っているのは私だけじゃないでしょ、いい加減待ちくたびれる。
    佐伯先生のお忙しいのはわからないでもないが大勢のファンを引き付けてるのならその期待感を無にすることはファンに対する冒涜ともとられても致し方ないのでは10番勝負と明記してるのであれば完結まで責任をもって成し遂げるべきと思う
    読者の中には余命わずかな方もおられるでしょ、そういう方々の気持ちを高揚させる意味でも本というのはありがたいものです(あ、これは釈迦に説法でしたね)
    とにかく、早期に残りの5番勝負を再開されますことを切にお願いいたします。

    1. はじめまして。
      コメントありがとうございます。

      本ブログでご承知のように、私は未だ『空也十番勝負シリーズ』の第二弾『青春篇 恨み残さじ』までしか読んでいません。
      ただ、『未だ行ならず』で青春篇が終わり、このあとどのようになるのか楽しみに待つだけと書いたのですが、著者による「しばらく休業」との言葉があったとは知りませんでした。

      私はこのところこの作者の作品からは遠ざかっていたので何とも言えないのですが、好きなシリーズ物で待たされる気持ちはよくわかります。

      磐根も新しいシリーズが始まっているようですので、このシリーズも構想を練っておられるのでしょう。
      より面白い作品が登場するものと期待しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です