『一刀斎夢録』とは
本書『一刀斎夢録』は2011年1月に文藝春秋から刊行され、2013年9月に文春文庫から上下二巻計912頁の文庫として出版された、長編の時代小説です。
『一刀斎夢録』の簡単なあらすじ
「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」-最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長斎藤一。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ、新選組三部作完結篇。( 上巻 : 「BOOK」データベースより)
沖田、土方、近藤ら仲間たちとの永訣。土方の遺影を託された少年・市村鉄之助はどこに消えたのかー維新後、警視庁に奉職した斎藤一は抜刀隊として西南戦争に赴く。運命の地・竹田で彼を待っていた驚愕の光景とは。百の命を奪った男の迫真の語りで紡ぐ鮮烈な人間ドラマ・浅田版新選組三部作、ここに完結。( 下巻 :「BOOK」データベースより)
『一刀斎夢録』について
本書『一刀斎夢録』は、文庫本で上下二巻の浅田次郎が描く「新選組三部作」の第三弾の長編時代小説です。
「新選組三部作」とは本書『一刀斎夢録』のほか、2000年出版の『壬生義士伝』と2004年出版の『輪違屋糸里』という新選組を主題とした三作品のことを言います。
新選組の斎藤一の名前をひっくり返して読みの漢字を少々変えると「一刀斎」。
作者の浅田次郎によれば、子母澤寛の「新選組遺聞」の中に記されているが、その存在が確認されていない「夢録」(むろく)という口述記録を「捏造してしまった」のだそうです。
本書も、明治時代をも生き抜いた斎藤一の語る言葉を聞く、という形で物語は進みます。
聞き手は全国武道大会の決勝まで進む腕を持つ近衛師団の梶原中尉という人物です。梶原の連夜の訪問に、斎藤一は煩わしい風を装いながらも語り聞かせます。
その斎藤一の語りは新選組の成立の当初から消滅に至るまでを網羅するものなのですが、主に三部作の他の二冊で語られていない事実について語られています。
それは途中から新選組を離脱し御陵衛士を結成した伊東甲子太郎(いとう かしたろう)の暗殺(油小路事件)や、坂本竜馬の暗殺事件の真相にも触れ、更に維新時の会津での戦いや明治に入ってからの西南の役にまで及びます。
『壬生義士伝』は吉村貫一郎という人間を通して家族を語り、『輪違屋糸里』では芹沢鴨暗殺事件を語り、そして両者ともに各人の話を通して新選組を語っていました。でも本書は斎藤一という人斬りを自らの仕事とした個人を描くことで新選組を語っているようです。
実は、浅田次郎作品を読むのは本書が最初でした。
2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」を見て斎藤一と言う人物に関心を持っているところで本書に出会い、読んでみたのです。浅田次郎の作品を読んだのは本書が初めてだったこともあり、かなりの衝撃を受けました。
ベストセラーであることも後に知りました。この後この作家の作品を立て続けに読んでいますがどの作品も外れがありません。
是非一読されることをおすすめします。

