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司馬 遼太郎 雑感

言わずと知れた歴史分野の第一人者です。

この人については色々書いても自分の無知さをさらけ出すだけなのであまり書きませんが、時代小説を読む以上は避けては通れない作家ではないでしょうか。

初期の「梟の城」や「風の武士」、短編集「果心居士の幻術」などは、娯楽時代小説としての面白さは抜群です。

これに対し、それ以降の「竜馬がゆく」「燃えよ剣」といった歴史物になると、独自の解釈による人物像が作り上げられていて、また違った面白さが出てきます。

巷間語られる宮本武蔵が吉川英治作品で作り上げられた虚像であるように、坂本竜馬はこの人の作り上げた竜馬によるところが大でしょう。その他の人物にしても司馬遼太郎が作り上げた人物像が元になっている場面が多々あると思われます。

また、特に戦国時代と明治維新は一連の小説群によって時代が語られています。

即ち、戦国期は「国盗り物語」「新史太閤記」「関ヶ原」「城塞」「覇王の家」がありますし、明治維新も「燃えよ剣」「花神」「世に棲む日日」「竜馬がゆく」「最後の将軍」等で語られます。そして、維新後は「翔ぶが如く」「坂の上の雲」「歳月」等があるのです。

司馬史観という言葉で語られるように、膨大な資料をもとに構築された司馬遼太郎独自の歴史観で書かれた小説群は圧巻です。

本来、司馬遼太郎を語る上では「街道をゆく」や「この国のかたち」等の紀行文・エッセイをも取り上げる必要があると思いますが、私が全く未読なのでその存在だけを指摘しておきます。

[投稿日] 2013年09月20日  [最終更新日] 2019年6月21日
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おすすめの小説

読み応えのある歴史小説のおすすめ作家

時代小説と言えば必ず名前が挙がるような大御所クラスの人達です。
池波 正太郎
「真田太平記」は目の前の本棚ににあるのですが、何時でも読めると思うと他の本に手が伸びてしまいます。
山本 周五郎
時代小説と言えば、市井もの、武家ものを問わずこの人を外すわけにはいきません。
子母澤 寛
歴史小説、物語性をあわせもつ小説として「勝海舟」は大長編で読みごたえがあります。そして、海舟の父「勝小吉」の物語「父子鷹」「おとこ鷹」がまた面白い。
井上 靖
武田信玄の軍師として有名な山本勘助を描く「風林火山」や、遣唐使の昔の学僧の物語「天平の甍」は外せないでしょう。
海音寺 潮五郎
「平将門 」しか読んでなくて勧めるのもおかしいけど、面白さは間違いないです。
山岡 荘八
何時か読まねばと思いつつもまだ読めていない「徳川家康」は私の待機本の第一です。
新田 次郎
私の中では武田信玄といえば新田次郎の「武田信玄」です。
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読み応えのある時代小説のおすすめ その2

エンターテインメント性の強い作家さん達です。
隆 慶一郎
コミック「花の慶次」の原作となった「一夢庵風流記」他、その面白さは天下一品です。
北方 謙三
ハードボイルドの第一人者ですが、そのタッチが時代小説にも生かされています。
志水 辰夫
この人もハードボイルド作家と言えますが、「つばくろ越え」などシミタツ節が時代小説の中で息づいています。
和田 竜
映画化もされた「のぼうの城」は実にスピーディーです。
葉室 麟
久しぶりの本格派の時代小説の書き手登場です。
青山 文平
様々な視点から、武士の生きざまを問う作品は、今の私の一番のお勧めです。

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