誉田 哲也

イラスト1
Pocket

文庫

光文社

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは ドルチェ (光文社文庫) [ 誉田哲也 ] へ。


魚住久江シリーズ』について

 

魚住久江シリーズ(2021年06月02日現在)

  1. ドルチェ
  1. ドンナ ビアンカ

 

『魚住久江シリーズ』は練馬署の組対課強行犯係に勤務する女性刑事を主人公とする警察小説シリーズです。

登場人物としてはまずは主人公、四十二歳になる巡査部長の魚住久江がいます。

他に警視庁練馬警察署刑事組織犯罪対策課強行犯係のメンバーとして、係長の宮田警部補、ベテランの里谷巡査部長、最近盗犯係から移ってきた原口巡査長、そして『ドルチェ』の中ほどから強行犯係に加わった峰岸巡査がいます。

また、重要な登場人物として、警視庁刑事部捜査第一課の金本健一、四十四歳がいます。多分今も巡査部長でしょう。

 

誉田哲也の描く女性刑事といえばベストセラーである『姫川玲子シリーズ』の姫川玲子があげられます。

本書の特徴といえば、この姫川玲子と本書の主人公の魚住久江との差を考えることが早いと思われます。

姫川玲子は、殺人事件の捜査そのものにのめり込み、直感で犯罪の筋を読んで犯人逮捕のきっかけにたどり着きます。

それは、姫川玲子が犯罪者と同様な思考方法をとっていることから来ているのであり、『姫川玲子シリーズ』の主要登場人物の一人であるでガンテツに言わせると、非常に危険な方法なのだそうです。

しかし、姫川は自分が過去に抱えた「闇」のためかその操作方法をやめようとはしません。

 

 

一方、本シリーズの魚住久江は昇進をきっかけに警視庁捜査一課から異動してから、度重なる捜査一課への誘いにも首を縦に振らないでいます。

それは、捜査一課が殺人事件捜査の専門部署だというところにありました。所轄の強行犯係ならば、少なくとも誰かが死ぬ前に事件にかかわることができるのです。

いつの頃からか久江は「誰かが生きていてくれることに、喜びを感じるようになっ」ていたのです。

 

こうした主人公の性格の差は当然物語の内容にも差が出てきます。

『姫川玲子シリーズ』では殺人事件の現場、犯人の心象も含めた背景など、かなりリアルに、結果的にグロテスクにもなっています。

それに対する姫川の捜査にしても、直感に基づくある程度強引な捜査手法も当然のようにとっていきます。

それに対し、『魚住久江シリーズ』の場合、犯行態様自体が比較的おとなしく、その裏にある人間ドラマに重きが置かれています。

人間ドラマを描くという点では『姫川玲子シリーズ』も同じといえば同じなのですが、生活に根差したところにある犯行という点でも本シリーズはより生活密着型だと思います

 

『魚住久江シリーズ』で特筆すべきことは、今まで比較してきた『姫川玲子シリーズ』の『オムニバス』の最終話において、姫川班に新しく配属されてくるのが魚住久江という女性だということです。

 

 

いわば『魚住久江シリーズ』と『姫川玲子シリーズ』とが合体するわけで、両シリーズの面白さがより高みを目指すことになるのでしょう。

大いに期待して待ちたいと思います。

 

ちなみに、この『魚住久江シリーズ』は2012年から2013年まで主人公の魚住久江を松下由樹が演じてテレビドラマ化されています。

DVD化はされていないようです。探したのですが見つかりませんでした。

[投稿日]2021年06月01日  [最終更新日]2021年6月2日
Pocket

おすすめの小説

女性を主人公に描いた推理小説

女性秘匿捜査官・原麻希シリーズ ( 吉川 英梨 )
警視庁鑑識課に勤める原麻希は、かつての上司の戸倉加奈子と共にそれぞれの子供を誘拐され、誘拐犯の指示に従うようにと指示される。そこにはかつて壊滅したはずのテロ集団「背望会」の影が見えるのだった。
アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 ( 深町 秋生 )
真相究明のためなら手段を選ばず、警視総監賞や方面本部賞を何度も受けている警視庁上野署組織犯罪対策課の美人刑事八神瑛子が躍動する、ジェットコースター警察小説。
刑事・雪平夏見シリーズ ( 秦 建日子 )
大酒飲みで、無駄に美人といわれている女性刑事を主人公とする警察小説です。本書は、篠原涼子主演でテレビドラマ化され人気を博した「アンフェア」の原作でもあります。
合理的にあり得ない 上水流涼子の解明 ( 柚月 裕子 )
もと弁護士の上水流涼子と、その助手貴山の、依頼者のために頭脳を絞り出します。知的ゲームを楽しむ六編の短編からなるミステリー小説集です。
凍える牙 ( 乃南 アサ )
「女刑事・音道貴子シリーズ」の一冊で、重厚な作品で読み応えがあります。直木賞受賞作です。

関連リンク

「警察小説大賞」連動企画 誉田哲也が明かす「警察小説の極意」前編
2017年に創設された警察小説大賞も第三回を迎えた。今後も、警察小説のさらなる隆盛、そして革新を願うなか、応募者たちはいかなる姿勢で執筆に臨めばいいのか。
嗜好と文化:第27回 誉田哲也さん「小説家にならなかったかも
「15歳から30歳までロックバンドをやっていました」という言葉通り、誉田哲也さんの話しぶりは、リズミカルで軽快だ。小説からドラマ、映画になった話題作「ストロベリーナイト」のストーリーも、以前ボツにした「殺人ショー」を題材にした自作曲の歌詞から生まれたという。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です