浅田次郎

イラスト1

プリズンホテル』とは

本書『プリズンホテル』は『プリズンホテルシリーズ』として、1993年2月から1997年1にかけて徳間書店からハードカバーで全四巻で刊行され、2001年6月から2001年11月にかけて集英社文庫から全四巻の文庫版として出版された長編のコメディ小説です。

ピカレスク小説であり、またコメディ小説でありながらも、根底には親子や家族の情愛が満ちている、やはり引き込まれてしまう作品でした。

プリズンホテル』の簡単なあらすじ

極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶー。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家…不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアーへようこそ。( 文庫版 『プリズンホテル 夏』の内容紹介文「BOOK」データベースより)

プリズンホテル』について

本書『プリズンホテル』は『夏』から『春』までの全四巻で刊行されたコメディ小説であり、ピカレスク小説でありながらも家族の情愛にあふれた作品です。

 

関東桜会木戸組の初代組長木戸仲蔵がリゾートホテルのオーナーになった。その業界では超大物であり、総会屋としても知らぬ者はいない、らしい。

任侠道を貫くその男の下にはこのホテルの番頭である若頭黒田旭がいる。支配人は大手「クラウンホテル」の元ホテルマンであり、お客様第一主義のため、会社と相容れない立場になっていたところを木戸仲蔵に拾われた。

主人公は木戸仲蔵の甥っ子で木戸孝之介といい、極道小説があたり、当代の売れっ子作家となっている。孝之介の母は若頭の黒田と駆け落ちをし、父は母に逃げられた後程なく死ぬ。

孝之介は寂しい子供時代を送っていて、それが現在の孝之介の性格を形作った一因となっている、と思われる。

 

母が逃げた後、後添えとして入り子供のまま成長していない孝之介を育てた木戸富江や、今の孝之介の愛人となっている田村清子など、他の登場人物も実にユニークで、夫々に掛け合い漫才のような会話を繰り広げています。

自己中心的で暴力的であり、我がまま放題の孝之介を温かく包んでいるのがこの二人なのです。

 

巻毎に少しずつ雰囲気が異なり、巻を追うごとに「平成の泣かせ屋」である浅田次郎の片鱗が少しずつ見えてきたりもします。

軽く読めます。そのくせどことなく心に残る物語です。

[投稿日]2015年03月22日  [最終更新日]2025年7月27日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です