剣客春秋シリーズ(完了)
- 里美の恋
- 女剣士ふたり
- かどわかし
- 濡れぎぬ
- 恋敵
- 里美の涙
- 初孫お花
- 青蛙の剣
- 彦四郎奮戦
- 遠国からの友
- 縁の剣
やはり一番に挙げるのはこのシリーズでしょう。何といっても池波正太郎の『剣客商売』があってのこの題名ですからよほどの自信があってのことと思い読んでみたのですが、期待に違わず引き込まれました。当然のことですが『剣客商売』とはまったく異なる、この作者独自の世界が広がっていたのです。
『剣客商売』は、秋山小兵衛を中心とし、秋山大治郎、三冬、そして弥七や徳次郎らによる、江戸情緒も豊かに、ときにはコミカルに繰り広げられる連作の短編中心の人情劇です。
それは異なり、本シリーズはどちらかと言うと剣戟の場面に重きを置いた長編小説のシリーズであって、痛快活劇小説ということになります。
剣術道場主の千坂藤兵衛とその娘里美、その恋人彦四郎を中心に物語は進んでいきます。また、『剣客商売』における探索担当の弥七同様の立場にあるものとして、弥八という岡っ引きがいます。
千坂道場が毎回巻き込まれる何らかの事件に対し、皆で力を合わせ、降りかかる事件にに立ち向かっていくのです。
面白い小説を探している人には間違いなくお勧めの一冊、いやシリーズです。
2011年の終わりにはこのシリーズも終わり、2012年10月には新しいシリーズとして「剣客春秋親子草」が刊行されています。