柳原通りの斬り合いに、門弟が巻き込まれたという報を受け、現場に馳せ参じた彦四郎。はたして三人の武士に囲まれていたのは、月代の無精髭をだらしなく伸ばした若い侍と、対照的に身なりのよい楚々とした娘だった。門弟にせがまれ、彦四郎は二人を助けるが、それは予想だにしない危難を招く端緒となった―。人気シリーズ、白熱の第四弾! (「BOOK」データベースより)
剣客春秋親子草シリーズの第四弾です。
師範代の永倉と稽古をしている彦四郎のもとに、門弟が斬り合いに巻き込まれそうだとの知らせがあり、門弟と共に、三人の侍と対峙していた青白い顔をした若侍と十六、七と思われる娘を助け出します。
後日、岩田要之助というなの助け出した若侍が挨拶に来て、通いだとまた襲われかねないとして内弟子にして欲しいといってきます。また、襲われていた娘は要之助の許婚で千石の旗本小堀家の娘ゆいであり、ゆいもまた里美に剣術を教えて欲しいというのでした。
その後、千坂道場を見張る侍が現れ、また彦四郎や里美らの留守の間に道場にいる要之助を狙って道場を襲ってくるのでした。永倉の機転でその場はしのいだものの、このままでは済ますことはできず、対策を練る千坂道場だった。
詳しい話を聞くと、ゆいの婿に収まり、病の小堀家の当主に代わろうとする当主の弟一派が、邪魔な要之助を始末しようとしているらしいのでした。
そのうちに門弟や、また直接にお花を襲う気配も見え、帰宅途中のゆいが攫われるに至り、反撃に出ることにするのです。
物語の運びからすると、これまで、千坂道場自体がとある藩の権力闘争に巻き込まれる形式の話が続いていたのですが、今回は藩内の争いではなく、とある旗本のお家騒動に巻き込まれる話になっています。
構造は同じと言っていいでしょう。というよりも、千坂道場が権力闘争に巻き込まれ、対抗措置として弥八、佐太郎の力を借りて情報収集をし、師範代の永倉の力を借りてこちらから敵の本隊に直接反撃するという構造はそのままです。
これまでの四巻の話を読むと、全部がその構造になっています。少々シリーズの話として膠着化している感じは否めません。新シリーズになる前はどうだったかというと、かなり前のことなのではっきりとは覚えていないのですが、ここまで同じ構造ではなかったと思います。
このシリーズのファンとしては少々残念な展開なのです。だからすぐに読むのをやめようとはならないのですが、できることであれば新しい展開を期待したいものです。