大沢 在昌

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『アルバイト探偵シリーズ』は適度な不良高校生冴木隆とその父親で市立探偵の冴木涼介との活躍を描くハードボイルド小説です。

とはいっても、シリアスな作品ではなく、ユーモアに満ちた、ハードボイルド小説のパロディというべきでしょう。

 

アルバイト探偵シリーズ(2020年08月29日現在)

  1. 命で払え
  2. 毒を解け
  3. 王女を守れ
  1. 諜報街に挑め
  2. 誇りをとりもどせ
  3. 最終兵器を追え

 
主な登場人物

冴木 隆 高校二年生 適度な不良高校生
冴木涼介 隆の父親らしい 女好きの私立探偵で元凄腕工作員らしい
圭子ママ 隆父子の住む「サンタテレサアパート」の大家 ハードボイルドマニアであり、一階の「麻呂宇」というカフェ・テラスを経営
星野さん クリストファー・リーのような風貌を持つ「麻呂宇」の老バーテンダー
倉橋麻里 隆の家庭教師で元女暴走族のアタマだった過去を持つ
島津さん 冴木涼介の過去の友人であり仕事仲間の『フクシツチョー』

 

先に本シリーズ『アルバイト探偵シリーズ』は、ハードボイルド小説のパロディ作品であると書きました。しかし、パロディという言葉が風刺、批判を内包する言葉であるとするならばパロディというべきではないかもしれません。

しかし、もし愛情をもってする文体の模倣を含むとするならば、本シリーズはパロディだといえると思います。

 

まず本シリーズ『アルバイト探偵シリーズ』の主人公は高校二年生です。

高校二年生でありながら、彼のまわりには元女暴走族のアタマや高校の女番長といった女性が集まり、腕っぷしもボクシングをやっているだけあってそこらのヤクザにも負けません。

また、女たらしの腕も父親に負けず、待ち合わせまでに時間があるからと六本木で十九歳のハマッ娘を拾い、彼女とホテルでことを済ませて待ち合わせに向かう、などの生活をしているほどです。

 

加えて、主人公である隆の父親冴木涼介が元ナイチョーのベテラン捜査員だったらしく、かつての仲間のフクシッチョーらと対立することになります。

またこの父親は、大家でありカフェ・テラス「麻呂宇」のオーナーである圭子ママからの誘いを回避しつつ、隆の家庭教師である麻里さんを落とそうと狙っています。

 

こうした現実にはあり得ない主人公親子が、国家レベルの事件に首を突っ込み、ジェームズ・ボンドさながらの活劇を繰り広げるのですから、これはパロディという以外ないでしょう。

とは言いながらも、隆と涼介父子のユーモア満載の会話、涼介や隆のそれぞれの振る舞いなど、本書はハードボイルド以外の何物でもありません。

 

本『アルバイト探偵』シリーズは、その第一巻目『アルバイト探偵』(現在の『アルバイト・アイ 命で払え』)の1986年という出版年度を見ても分かるように、バブル期(直前)に書かれた作品であり、何となくの景気の良さと、登場するアイテムの古さが目につきます。

でも、決して違和感を感じるものでもなく、当時の世相を反映した作品として楽しむべきとも言えます。

 

本シリーズは、最初は「廣済堂ブルーブックス」として出版されていましたが、後に「廣済堂文庫」や「講談社文庫」を経て、現在(2020年)では「角川文庫」から出版されています。

また、板元が変わるたびに本のタイトルも変更され、現在は上記のようなタイトルになっています。

そして、角川文庫半からはシリーズ名も『アルバイト・アイ』と変わっているようですが、ここでは作者大沢在昌氏の公式サイト「大極宮」にならい、『アルバイト探偵シリーズ』のままとします。

とはいえ、『アルバイト探偵シリーズ』も読みは「アルバイト・アイ」であって、単に表記が変わっただけです。

 

蛇足かもしれませんが、Amazon の Kindle版 では、『アルバイト・アイ シリーズコンプリート版【全6冊合本】 (角川文庫) 』も出ています。

 

 

ちなみに、第六巻『最終兵器を追え』(旧タイトルは『帰ってきたアルバイト探偵』)は、『アルバイト探偵 100万人の標的』 という題で、監督は崔洋一、父親の涼介を椎名桔平が演じ映画化されています。

 

[投稿日]2020年08月31日  [最終更新日]2020年8月31日
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