辻堂 魁

風の市兵衛シリーズ

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「ああいう男はとり除かねば」文政半ばの年末、江戸城内外で奥祐筆組頭・越後織部は謀議を重ねていた。翌春、長兄で目付・片岡信正の婚儀の喜びも冷めぬ中、今は市井に生きる末弟・唐木市兵衛は、信正配下の小人目付・返弥陀ノ介捕縛、責問の報に驚愕。信正も謹慎中と知り、真相の究明に乗り出すが…。冤罪に落ちた兄と友を救うため、“風の剣”が城に巣くう闇を斬る!(「BOOK」データベースより)

風の市兵衛シリーズ第十弾です。

今回は、市兵衛の兄である公儀十人目付筆頭の片岡信正が本格的にこのシリーズに絡んできた最初の物語ではないかと思います。これまでも話の中に登場はしてきていたのですが、それは物語の背景としてであり、物語の流れそのものが片岡信正に直接関係するのです。

公儀奥祐筆組頭の越後織部の力を借りて、老中職まであと一歩のところまで来ていた伊勢七万石譜代大名の門部伊賀守邦朝は、公儀十人目付筆頭の片岡信正の異議のためにその望みを絶たれてしまいます。そのため、越後織部らは片岡信正配下の返弥陀之介を捕縛、拷問にかけ、片岡信正の不正の証拠としようとするのです。

自分の親友でもある返弥陀之介の捕縛を知った市兵衛は、北町奉行所定町廻り同心の渋井鬼三次らの力を借りて奔走し、救出を図ります。つまりは、本書の市兵衛は、算盤侍としての顔ではなく、「風の剣」の使い手としての唐木市兵衛の話ということになります。

また、片岡信正の新婚の妻である佐波の父静観がとった行動も見ものです。静観の口からは、片岡信正と佐波の馴れ初めも語られたりもし、このシリーズの奥行きがまた少し深くなったようにも思える物語でした。

[投稿日]2017年07月02日  [最終更新日]2017年7月2日
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