小籐次一家との身延山久遠寺への代参旅から戻ったお夕は、父のもとで錺職修業を始めた。だが父を師匠とする関係に、お夕は思い悩む。一方、駿太郎は実父・須藤平八郎の埋葬場所が判明し、小籐次から墓を建てるよう提案される。姉と弟のような二人を小籐次は見守るが、当の本人もまた騒ぎに巻き込まれ…。シリーズ第4弾!(「BOOK」データベースより)
新・酔いどれ小籐次シリーズの第四巻となる長編の痛快時代小説です。
前巻では、小藤次が長年住んでいた長屋の元差配である新兵衛さんの代参として身延山久遠寺へ参ったお夕でしたが、今回は、父のもとで錺職修業を始めます。
駿太郎が小藤次が実の父親ではないと知らされた時には、駿太郎の心の内の苦悩を、駿太郎の姉ともなって聞いていたお夕ですが、今回は自身の葛藤を駿太郎に助けられるのです。
その駿太郎には実の両親の埋葬場所が見つかるのでした。そして、駿太郎の実母のお英と、実父である須藤平八郎の墓を建てることになります。
一方、小藤次のもとにはかつての奉公先である豊後森藩から指南役としての復帰の話が起こり、二人の若者と駿太郎とが立ち合うことになります。
今回は話の進み方としては沢山の事柄が盛り込まれていました。小藤次自身の親の話も少しずつ語られてはいたのですが、今回は駿太郎の実の両親の話、そして、駿太郎と姉弟のようにして育ってきたお夕との話を中心に、小藤次自身の身の回りにも少しの変化があるのです。
今の小藤次の生活の状況をきちんと整理しつつ、駿太郎やお夕説いた登場人物たちの環境も整備されていくようです。