大沢 在昌

狩人シリーズ

イラスト1
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新宿のキャバクラで高部という不動産会社の社長が殺される。事件の裏には新宿オレンジタウン一帯についての地上げが絡んでいるらしい。新宿署の刑事佐江は警視庁捜査一課の谷神と組み、その地上げには日本最大の暴力団である高河連合が動いていることを探り出すのだった。一方、並行してフィリピンの少女プラムの物語が語られる。

「『新宿鮫』と双璧を成す警察小説シリーズの最高傑作」という本書の帯の惹句にひかれ、読んでみる気になりました。

また、確かに新宿鮫と同じく佐江は仲間からも孤立している一匹狼です。ただ、叩き上げである点がキャリア組である鮫島とは異なります。そして、本書に限って言えばその佐江は谷神という刑事と組んで動き回る点も異なります。全巻を読みとおしてはいないので、他の巻ではどうなのかはまだ不明です。

何より感じるのは、「新宿鮫」は鮫島という存在感のあるキャラクタに加え、物語のリアリティが素晴らしいものでした。それに対し、本書の場合は物語の先には「明日香シリーズ」のようなエンターテインメント性の豊かな、アクション性の強い物語が控えています。「俺は管内の極道には、確かに詳しい。だが、俺に詳しい極道は、シャバにはひとりもいない」と言い切る佐江は、まさにハードボイルドの主人公のせりふなのです。が、物語はそうは進まずにアクション小説の方向へと進んでいくのです。

本書は、サブストーリー的に少女プラムの物語が語られ、後に一つの物語となって終盤へと流れ込みます。こうした物語の組み立て方は、大沢在昌のエンターテインメント小説の職人としての見せ場でしょう。現実的か否かは別として、面白いアクション小説であることは間違いないと思います。

読み終えてから知ったのですが、本書は「北の狩人」「砂の狩人」「黒の狩人」に続く「狩人シリーズ」の中の2014年11月時点での最新巻ということでした。その巻毎に中心となる人物がいて、佐江はシリーズを通して存在するキャラクタのようです。

[投稿日]2017年01月12日  [最終更新日]2017年1月12日
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