辻堂 魁

風の市兵衛シリーズ

イラスト1
Pocket

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは 修羅の契り 風の市兵衛 弐 22 (祥伝社文庫) [ 辻堂魁 ] へ。


病弱の妻の薬礼を得んがため人斬りに身をやつした信夫平八。断腸の思いで平八を刀に懸けた唐木市兵衛は、彼の忘れ形見、小弥太と織江とともに新しい生活を始める。日々、絆を深くする市兵衛と子どもたち。そんな中、岡っ引の文六、お糸夫婦が寝込みを急襲された。さらに、幼い兄妹が行方不明に―子どもたちの奪還のため死地へと向かう市兵衛に“修羅の刃”が迫る! (「BOOK」データベースより)

 

序章 六道の辻 | 第一話 土もの店 | 第二話 仕かえし | 第三話 修羅の町 | 第四話 死闘千駄ヶ谷 | 終章 ご褒美

 

『風の市兵衛』シリーズ第二部『風の市兵衛 弐』となっての第二巻です。

今回の物語は、大きく二つに分けられます。

ひとつめは市兵衛の新しい勤め先での出来事で、ふたつめは前巻で市兵衛が倒した信夫平八が残した二人の子、小弥太と織江にまつわる話です。

 

最初の新しい勤め先とは家禄千二百石の旗本・大久保東馬であり、用人としての勤めです。でも、そこには既に大木駒五郎という人物が既におり、大久保家全般のことを取り仕切っていたのです。

ところが、この大木駒五郎という男は大久保家を食い物にしようとしていることは明白であるにもかかわらず、大久保東馬はそのことを全く認めようとはしないのでした。

 

そしてもう一方では、小弥太と織江とが行方不明になってしまいます。その裏には、信夫平八とその妻由衣の国元からの出奔の原因となったた宝蔵家の三男であった竜左衛門の存在が疑われるのでした。

そこに、信夫平八の雇い主であった殺し人の元締めの多見蔵が信夫平八の敵を討とうと、新しい殺し人に文六とその女房お糸、そして市兵衛の殺しを依頼し、話は複雑になります。

 

こちらの話が本書の本筋の話ではあるのですが、市兵衛の痛快さが見れるのは最初の大久保家の話のほうです。こちらは単純に頼りなさげに見えた男が実は芯の強さを秘めていたというヒーローものの王道のような展開を見せます。そして、久しぶりに市兵衛の経理に強い、用人としての顔を満つことができる物語でもありました。

 

一方、小弥太と織江とにまつわる物語もヒーローものではあるのですが、こちらは物語で読ませる話となっています。多見蔵と信夫平八との関係や、信夫平八と宝蔵家の竜左衛門と間の話、また市兵衛と幼い子らの関係はどうなっていくのか、などなかなかに読ませるのです。

そして、本来江戸の外に逃げ出せば足る筈の多見蔵が、新たに殺し人を依頼する理由なども丁寧に示してあり、私の好みをきちんと押さえた物語となっていました。

 

そして、市兵衛の新しい物語も登場人物も確定し、その中で進行していくものと思っていたところ、更に思いの他の展開となってしまいました。

今後の展開はどのようになっていくものなのか、次巻を待ちたいものです。

[投稿日]2018年09月17日  [最終更新日]2018年9月17日
Pocket

おすすめの小説

おすすめの人情小説

髪結い伊三次捕物余話シリーズ ( 宇江佐 真理 )
髪結いの伊三次とその妻とお文、そして伊三次が世話になっている同心の不破友之進の家族の物語です。
立場茶屋おりきシリーズ ( 今井 絵美子 )
品川宿門前町にある「立場茶屋おりき」の二代目女将のおりきの、茶屋に訪れる様々な人との間で織りなす人間模様が、美しい条件描写と共に語られます。
みをつくし料理帖シリーズ ( 高田 郁 )
天涯孤独の身である澪は、かつての雇い主であった大阪の「天満一兆庵」の再興を夢に、江戸は「つる家」で様々な事件を乗り越えて生きていく。
信太郎人情始末帖シリーズ ( 杉本 章子 )
呉服太物店美濃屋の跡継ぎの信太郎と引手茶屋千歳屋の内儀おぬいの二人を中心とした人間模様を描く人情物語です。
御薬園同心 水上草介シリーズ ( 梶 よう子 )
御薬園同心の水上草介を主人公とする、心温まる人情劇です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です