剣術道場の一人娘・七緒は、嫁入り前のお年頃。耄碌のはじまった祖父の秋重治左衛門のもと、師範代として稽古をつける日々。町のやくざ者を懲らしめる、剣の腕と好奇心の持ち主でもある。ある日、道場の門前に男が行き倒れていた。ただの空腹だったというその男は、七緒や門人たちの前で、からくり人形を操り出すのだが…。
新しく始まった陽炎時雨 幻の剣シリーズの第一巻です。
登場人物は秋重治左衛門とその孫娘の七緒、北町奉行所同心の和倉信兵衛その手下の善造、加えてやくざまがいの岡っ引きの達吉達、とまあありそうな面子が並んでいます。
秋重治左衛門は剣術道場の師範であり、七緒は師範代という腕前です。
七緒には兄蔵之進がいたのですが、惨殺されており、和倉信兵衛はその探索をも行っています。兄は何故殺されたのか、がシリーズを貫く謎になるのでしょう。
和倉信兵衛は、全ての歯を抜かれた死体を検分していた。続けてまた全ての歯を抜かれた人殺しが起こり和倉信兵衛は更なる探索を続ける。
一方、七緒の道場の前で生き倒れていた男を介抱した七緒はその男の身元を探ることになる。
本書も鈴木英治作品らしく、読み易く、キャラも立って面白そうです。
しかし、本書の謎は頂けません。かなり無理があり、とても話について行けませんでした。
また結末も安易としか思えず、この作家らしくない纏め方という印象しかありませんでした。
でも、鈴木英治という作家が書いているのですから、次の巻からはまた面白い物語が展開することを期待します。