父子十手捕物日記シリーズ(完結)
- 父子十手捕物日記
- 春風そよぐ
- 一輪の花
- 蒼い月
- 鳥かご
- お陀仏坂
- 夜鳴き蝉
- 結ぶ縁
- 地獄の釜
- なびく髪
- 情けの背中
- 町方燃ゆ
- さまよう人
- 門出の陽射し
- 浪人半九郎
- 息吹く魂
- ふたり道
- 夫婦笑み
本シリーズは、名同心といわれた御牧丈右衛門の跡を継いだ息子の文之介が、父親丈右衛門や文之介の幼馴染みの中間勇七の力を借りながらも江戸の町でまき起こる様々な事件を解決していく姿を描く、痛快人情時代小説です。
鈴木英治の特徴である登場人物の内心の声をそのまま描く独白形式の文体が心地よく、軽快に読み進むことができる作品となっています。
また、登場人物のかわす日常会話も物語の適度な息抜きとなっており、鈴木作品の独特な個性となっている点も他の作品と同様です。
そのことは幼馴染みでもある中間勇七との掛け合いにもおらわれており、小気味よく響きます。この中間との掛け合いの設定は鈴木栄治作品のあちこちで使われていますが、その似た設定がそれなりに物語の潤滑油になっていると思います。
勿論文之介自身も同心としてもそれなりに優秀で、剣の腕も立ち、事件を解決していくのです。
他に文之介の幼馴染みのお春という大店の味噌問屋の娘や、御牧丈右衛門の上司で盟友でもある与力の桑木又兵衛などが文之介の後押しをしています。
本シリーズは完結しており、一気に読みたい人向きです。