原田 マハ

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宝島社

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島を愛する旅人の純子と、故郷の沖縄を出て東京のキャリアウーマンとして生きる成子。「おんな一人旅の宿」というテーマで奄美諸島の神秘の島々を取材する二人だが、彼女らが見つけたものは、取材の目的以上の大きなもの。それは、それぞれが背負う「宿命」だった―。第1回日本ラブストーリー大賞・大賞作『カフーを待ちわびて』の明青と幸の暮らしの傍でくり広げられていた、もう一つの感動ストーリー。(「BOOK」データベースより)

 

本書は第1回日本ラブストーリー大賞の受賞作である『カフーを待ちわびて』のスピンオフとでもいうべき作品です。

 


 

南の島を舞台に、都会から逃げ出して島へ来た女性の難波純子、逆に島から都会へと出ていった女性の山内成子という、『カフーを待ちわびて』で描かれた沖縄の与那喜島に起きたリゾート開発のために人生が変わった二人を中心に描かれる物語です。

人はそれぞれの人生に何らかの背景をもって生きています。

本書の場合それはある女性は認知症の母から自分を否定された過去を持ち、また、ある女性は島から出てバリバリのキャリアウーマンとして働いていながらも、夫への配慮を忘れ独り身になってしまっています。

その女性らが、同じように都会から島へとやってきた女性らと出会い、喜びを得、また涙し、自分の生き方をあらためて見つめ直します。

 

カフーを待ちわびて』はラブストーリーでしたが、兄弟本ともいえる本書はそうではありません。

いろいろな女性の生き方を島を舞台に問い直してみる、そんな物語です。

 

本のタイトルのようにいろいろな「花」が効果的に使われていて、もしかしたら感傷過多と言えるかもしれませんが、それでもなお、たまにはこうした心温まるやさしい物語もいいもんだ、と思います。

本書のような心温まる作品としては、 有川浩の『阪急電車』という作品があります。

阪急電車の今津線でのほんの十数分の間の出来事を、各駅ごとの章立てで描き出した、ほんわかとした物語でできている連作短編集です。

 

 

また、 佐藤多佳子の『しゃべれどもしゃべれども』も、しゃべることが苦手な様々の事情を持つ登場人物が、二つ目の落語家である主人公のもとへ話し方を習いに来る、心温まる物語です。

 

 

勿論、両作品共に作者の個性が発揮されている作品であり、似ているとはいっても読後感が爽やかで、あたたかな気持ちになるという点においての話です。

刑事ものやハードボイルドのような冒険小説を好む私としては、たまには本書や上記のような作品を読むと子持ちよくなれるのです。

[投稿日]2020年01月15日  [最終更新日]2020年1月15日
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