『守り人シリーズ』とは
本シリーズの世界観は、人間が日々暮らしているこの世界(サグ)と、目に見えない精霊の世界(ナユグ)とが重なりあって存在しているというユニークなものです。
また、シリーズ内で物語の主人公となる人物が異なり、タイトルに『守り人』とつく作品は三十歳になる短槍使いのバルサが主人公であり、『旅人』とつく作品はチャグムを主人公としています。
『守り人シリーズ』の作品
守り人シリーズ(完結)
- 天と地の守り人 <第1部 ロタ王国編・第2部 カンバル王国編・第3部 新ヨゴ皇国編> ロタ王国編
- 流れ行く者 守り人短篇集
- 炎路を行く者 守り人作品集
- <守り人>のすべて 守り人シリーズ完全ガイド
『守り人シリーズ』について
この物語の世界観は、人間の世界と精霊の世界とが重なった二重構造をしていて、同じ時間と空間に重なって存在しているといいます。
その世界での女用心棒バルサは水の精霊の卵を宿している皇子チャグムを助け(第一巻『精霊の守り人』)、以後二人の物語が始まります。
本『守り人シリーズ』は、人類学者である著者上橋菜穂子が著した児童文学で、野間児童文芸賞新人賞、産経児童出版文化賞他多数の賞を受賞しています。
児童文学とは言いつつも十分大人の鑑賞に耐えうる、安定感のある構成の作品です。ハリーポッターシリーズが幅広く大人に受け入れられたのを思えば良いでしょう。
というより、ハリーポッターシリーズよりはずっと大人向けではないでしょうか。
上橋菜穂子の作品の『獣の奏者』(講談社文庫全四巻)+(外伝一巻)にも言えることですが、個人的には本『守り人シリーズ』は大人向けの物語だと思っています。
ただ、その文章、物語の内容が分かりやすく、子供が読んでも面白い物語だと言えるのです。
この作品の面白さの一つに、主人公の女用心棒バルサが児童文学であるにも拘らず「三十歳の女用心棒」という設定であることにもあるかもしれません。
作者によれば、編集の担当者には怒られたけれども「短い槍を担いだ三十代のオバサンが、小さな男の子の手をひいて逃亡している姿が浮かんできた」のだから仕方が無いのだそうです。
このシリーズは「守り人」とという言葉と、もう一つ「旅人」という言葉がつけられた書名とに分かれます。
バルサが主人公の作品は「守り人」がつき、皇子チャグムが主人公の作品には「旅人」がつけられているのです。
全26話としてアニメ化され2007年にNHK-BS2で放送されました。
更に、2016年の春から3年かけて全22回の4Kでの実写ドラマとして、綾瀬はるかの主演で放映されました。
同様のNHKドラマのシリーズ作品である『坂の上の雲』の出来栄えがとてもよかったことを考えると、同様に力の入ったシリーズのようで期待していました。
しかし、残念ながら日本人の役者さんたちが演じるカタカナの名の登場人物やファンタジーの世界は今一つリアリティに欠け、綾瀬はるかのアクション意外に見るべきものはあまりありませんでした。