守り人シリーズ(完結)
- 精霊の守り人
- 闇の守り人
- 夢の守り人
- 虚空の旅人
- 神の守り人 <上> 来訪編
- 神の守り人 <下> 帰還編
- 蒼路の旅人
- 天と地の守り人 <第1部> ロタ王国編
- 天と地の守り人 <第2部> カンバル王国編
- 天と地の守り人 <第3部> 新ヨゴ皇国編
- 流れ行く者 守り人短篇集
- 炎路を行く者 -守り人作品集-
- <守り人>のすべて 守り人シリーズ完全ガイド
この世界は人間の世界と精霊の世界と重なった二重構造をしていて、同じ時間と空間に重なって存在しているという。
その世界での女用心棒バルサは水の精霊の卵を宿している皇子チャグムの護衛をすることとなります。
皇子は、帝国の威信のために息子を殺そうとしている父帝と、水の精霊の卵を狙っている精霊の世界の怪物との両者から命を狙われていたのです。
人類学者である著者上橋菜穂子が著した児童文学で、野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞他多数の賞を受賞しています。
児童文学とは言いつつも十分大人の鑑賞に耐えうる、安定感のある構成の作品です。ハリーポッターシリーズが幅広く大人に受け入れられたのを思えば良いでしょう。
というより、ハリーポッターシリーズよりはずっと大人向けではないでしょうか。
上橋菜穂子の作品の『獣の奏者』(講談社文庫全五巻)にも言えることですが、個人的には本『守り人シリーズ』は大人向けの物語だと思っています。
ただ、その文章、物語の内容が分かりやすく、子供が読んでも面白い物語だと言えるのです。
この作品の面白さの一つに、主人公の女用心棒バルサが児童文学であるにも拘らず「三十歳の女用心棒」という設定であることにもあるかもしれません。
作者によれば、編集の担当者には怒られたけれども「短い槍を担いだ三十代のオバサンが、小さな男の子の手をひいて逃亡している姿が浮かんできた」のだから仕方が無いのだそうです。
このシリーズは「守り人」とという言葉と、もう一つ「旅人」という言葉がつけられた書名とに分かれます。
バルサが主人公の作品は「守り人」がつき、皇子チャグムが主人公の作品には「旅人」がつけられているのです。
全26話としてアニメ化され2007年にNHK-BS2で放送されました。
更に、2016年の春から3年かけて全22回の4Kでの実写ドラマとして、綾瀬はるかの主演で放映されました。
同様のNHKドラマのシリーズ作品である『坂の上の雲』の出来栄えがとてもよかったことを考えると、同様に力の入ったシリーズのようで期待していました。
しかし、残念ながら日本人の役者さんたちが演じるカタカナの名の登場人物やファンタジーの世界は今一つリアリティに欠け、綾瀬はるかのアクション意外に見るべきものはあまりありませんでした。