米澤 穂信 雑感
『米澤穂信』のプロフィール
1978(昭和53)年岐阜県生れ。2001(平成13)年、『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。2011年、『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞を受賞。2014年『満願』で山本周五郎賞を受賞。同作は、「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の国内部門ランキングにて1位に輝き、史上初の三冠を達成する。他著に『ボトルネック』『儚い羊たちの祝宴』『リカーシブル』『さよなら妖精』『犬はどこだ』『インシテミル』『追想五断章』『王とサーカス』『いまさら翼といわれても』などがある。
引用元:米澤穂信 | 著者プロフィール | 新潮社
『米澤穂信』について
作家米澤穂信の山本周五郎賞を受賞した『満願』を始めとする作品は、どれも私の好みに合致する作品です。
この作家の描く推理小説は謎の部分が非日常的なトリックではなく、日常性の中での仕掛けとして自然です。
また物語としてのドラマそのものの魅力も多分にあって、そのドラマに組み込まれた仕掛けの面白さ、という点に惹かれます。
米澤穂信に似た作風だとの印象を持つ作家としては、例えば警察学校を舞台にした教場という短編小説などを書いている、長岡弘樹という人がいます。
ともに日常生活の中にうまく潜ませた仕掛けによって、人間ドラマを浮かび上がらせていると思います。
とにかく、『インシテミル』のような本格派の小説も書かれるこの米澤穂信というという人は、どの作品もかなり読み応えがありそうです。
ちなみに、2021年になって『黒牢城』というタイトルで戦国時代を舞台としたミステリーも書かれています。
時代小説というの縛りの中での本格派の推理小説であり、かなりの読みごたえのある作品でした。
短編集『満願』と長編『王とサーカス』とで、二年連続でミステリー小説のランキングで三冠をとるという快挙を成し遂げた作家さんです。面白いのも当たり前でした。
なお、『満願』が第151回の、『真実の10メートル手前』が第155回の、『黒牢城』が第166回の直木賞の候補作品となっています。
そして、前述した『黒牢城』は第166回直木三十五賞の受賞作となっています。
まだ多くの未読作品がありますので、実に楽しみな作家さんです。