『みこころ 風の市兵衛 弐』とは
本書『みこころ 風の市兵衛 弐』は『風の市兵衛 弐シリーズ』の第十五弾で、2025年10月に祥伝社文庫から328頁の文庫として出版された、長編の痛快時代小説です。
このところのこのシリーズの物語で感じていることですが、マンネリ化していて物語の面白さが薄れているようです。
『みこころ 風の市兵衛 弐』の簡単なあらすじ
江戸のかくれ切支丹をほのめかす手紙を残して、三田の陰陽師うしな秋蔵が殺された。一方、近くの岡場所で下女奉公するみつぐは、道で折檻されていたのを、呉服太物所の女将・婉に救われる。偶然にも婉の秘密を知ってしまったみつぐは、唐木市兵衛を頼る。異変を察した市兵衛が独自に探索を進めると、秋蔵殺しの復讐に燃える陰陽師一派もまた、周囲を嗅ぎ回り…。(「BOOK」データベースより)
『みこころ 風の市兵衛 弐』の感想
本書『みこころ 風の市兵衛 弐』は『風の市兵衛 弐シリーズ』の第十五弾です。
今回もシリーズ当初の斬新な面白さはなく、主役の唐木市兵衛が物語に絡む必然性も感じられない作品でした。
岡場所の下女として働く十三歳のみつぐは、ある日使いの途中で陰陽師の殺害現場に行き合わせてしまいます。
みつぐは、世話になっている女郎屋の女将の折檻を受ける毎日でしたが、ある日、折檻を受けているところを呉服太物所の女将の婉(えん)に助けられます。
本書はこのみつぐと婉を中心とした物語ですが、彼女らの敵役となるのが陰陽師です。
ただ、この敵役であるはずの陰陽師という存在が、殺されたうしな秋蔵の非道さもさることながら、うしな秋蔵の手紙により京から手伝いに来た賀茂真改を始めとする三人の陰陽師たちの行動自体が物語の進行としてはあまり納得のできるものではありませんでした。
そもそも、うしな秋蔵の手紙自体、隠れ切支丹を見つけたので抹殺する手を貸してほしいという点からしてよく分かりません。
うしな秋蔵は、たまたま見かけた婉に手を出そうとしていたはずであり、京の仲間への手紙は隠れ切支丹を抹殺する手伝いを頼むというのはどういうことでしょう。
といっても、女好きのうしな秋蔵のたくらみですから、京の仲間と共に女を手に入れようとするものであったのかもしれません。でもそうなると、うしな秋蔵がいないところでの三人の会話の内容がまたわからなくるのです。
物語は、とんでもなく美しいことで高名な商家の内儀を手籠めにしようとした男とその殺害、それに殺害の現場近くにたまたま居合わせた娘の存在、あわせて隠れ切支丹との絡みの話です。
市兵衛がこの流れに関係してくるきっかけもあまりその必然性を感じないものでした。
この様子が続けばこのシリーズを読むのをやめようかと思うほどであり、次巻の出来次第ではもう終わりにしたいと思います。