『シングルマザー探偵の事件日誌シリーズ』とは
本『シングルマザー探偵の事件日誌シリーズ』は、一人娘を抱えたシングルマザー探偵を主人公とする、軽妙なハードボイルドミステリーシリーズです。
シングルマザーが主人公の山形弁が飛び交うローカル色豊かな作品であり、かなり面白く読んだ作品でした。
『シングルマザー探偵の事件日誌シリーズ』の作品
『シングルマザー探偵の事件日誌シリーズ』について
本『シングルマザー探偵の事件日誌シリーズ』は、一人娘を抱えたシングルマザー探偵を主人公とする、軽妙なハードボイルドミステリーです。
主人公は椎名留美というもと警察官です。夫の椎名恭司を事故で失ってからとある事情で警察を辞めることになり、一人娘の知愛を育てるためにも山形市で私立探偵を開業しています。
しかし、私立探偵とはいってもそうは仕事があるわけでもなく、実際は第一作の『探偵は女手ひとつ』で描かれている職業はスーパーの保安員やパチンコの順番取り代行、雪かきやさくらんぼの収穫の手伝いなど便利屋というべき現状です。
とはいえ、たまには私立探偵としての補助がいるときや、仕事の中で危ない場面に直面する場面などにボディガード的な立場で助けてくれる元バリバリのヤンキーだった畑中逸平・麗の夫婦がいます。
また、元警察官ということもあってか、暴力団が絡む事案なども臆せずに手がけますし、その道へのつながりも持っています。
本シリーズの特徴は何と言っても山形を舞台に展開される地方色豊かな内容であって、登場人物もみんな山形弁を話していることでしょう。
この方言での会話という点は、わが郷土熊本の梶尾真治が熊本を舞台に物語を展開しているのと同じであり、実に親しみを感じます。
本シリーズは梶尾真治のほのぼの系のSF作品とは異なりあの深町秋生作品ですから、社会のダークな側面をこそ描き出すハードボールド作品ということで作品のタッチは全く異なります。
とはいえ、子持ちのもと警察官の探偵を主人公としているのですから、例えば『煉獄の獅子たち』のようなバイオレンス色が濃密な作品と違い、時には親子や家族の問題も絡ませた社会派的な側面も見せる物語となっています。
2023年5月の時点ではシリーズはまだ二作品しか出版されていませんが、今後の展開を期待したいと思います。