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梶尾 真治 雑感

1947(昭和22)年、熊本生れ。少年時代から小説を書き始め、1971年「美亜へ贈る真珠」で作家デビュー。短編を中心に活動を続け、代表作は『地球はプレイン・ヨーグルト』(星雲賞受賞)、『未踏惑星キー・ラーゴ』(熊日文学賞受賞)、『サラマンダー殲滅』(日本SF大賞受賞)など。2003(平成15)年には、『黄泉がえり』が映画化され、原作、映画ともに大ヒットを記録。関連作として『黄泉びと知らず』(星雲賞受賞)、『黄泉がえり again』がある。他の著作に『怨讐星域』(星雲賞受賞)、「エマノン」シリーズ、『未来のおもいで』『あねのねちゃん』『穂足のチカラ』『クロノスの少女たち』『杏奈は春待岬に』などがある。(梶尾真治 | 著者プロフィール | 新潮社 : 参照 )

 

タイムリープものを得意とするSF作家です。最初は短編が得意な作家だ、という印象を持っていたのですが、そのうちに『サラマンダ-殲滅』という作品で第12回日本SF大賞を受賞してしまいました。

 

 

その後も、映画化された『黄泉がえり』や、この人の得意とする時間旅行ものの『クロノス・ジョウンターの伝説』や『つばき、時跳び』などの長編が発表されています。

 

 

この作家の一番の特徴は、主人公の置かれる状況の特異な設定であり、その状況を貫くロマンチシズムでしょうか。この作風はデビュー作の『美亜へ贈る真珠』からずっと続いています。

一方『波に座る男たち』という長編などはどこか筒井康隆を彷彿とさせる作品と言えると思うのですが、他にも少々ブラックな作品なども書いています。

 

 

また、『黄泉がえり』などをはじめとする一連の作品群は、その物語が書かれたときの熊本市が舞台であり、そのときの熊本の街がそのままに物語上で展開されています。

当たり前のことですが、熊本という土地に住む私たちにとって、読みやすいストーリーと文章を持つ梶尾真治という作家の作品がさらに親しみやすい物語になっているといえるのです。

 

この作家の作品では、選択肢が限定された状況の下で主人公がどのような行動をとるのか、が実に巧妙に描かれることが多いのですが、その選択肢が限定された状況を作り出すアイデアがまた秀逸なのです。

まずはどの作品でも良いですから読んでみてください。面白いこと請け合いです。

 

わが郷土の先輩でもあるこの作家は是非一読の価値ありと言えます。

ただ、とても読みやすいという点が特徴のこの人の作品は「北方謙三」や「船戸与一」といった少々毒のある、骨太の小説が好みの方からすると物足りないかもしれません。

[投稿日] 2014年12月26日  [最終更新日] 2019年5月11日
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