イラスト1
Pocket

長岡 弘樹 雑感

団体職員を経て、2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞[1][3]。2005年『陽だまりの偽り』で単行本デビューする。2011年に発売された『傍聞き』の双葉文庫版が、本の雑誌社が刊行する『おすすめ文庫王国2012』の国内ミステリー部門で第1位に選ばれると、ロングセラーとなり39万部を超えるヒットとなる[4]。2013年に刊行した『教場』は警察学校を舞台にした新しいタイプの警察小説で[5]、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」で第2位に選ばれた。(ウィキペディアから引用)

長岡弘樹という作家の作品で最初に読んだ本が『教場』だったのですが、これまでにない視点から組み立てられた物語でした。なにせ警察学校を舞台にした警察学校の生徒がそれぞれに主人公になっている連作の短編集なのです。次いで、読んだ『群青のタンデム』も独特な雰囲気を持っていた作品でした。

長岡弘樹作品はまだこの二冊しか読んでいないのですが、ミステリーのアイデアが独特で、基本が連作の短編ということもあるのか、伏線を丁寧に張り巡らしてあります。ただ、若干ですが文章に独りよがりの感じがあります。物語の展開を表現するのに、書かれていない部分は読者の想像、イマジネーションで補ってくれ、と言わんばかりなのです。つまりはもう少しの丁寧さが欲しい、という印象なのです。

とはいえ、実に魅力的な作品を書かれる作家であることには間違いはなく、長岡弘樹本人が参考にされていると書かれているようにどことなく  を思い起こさせる物語でもあります。
それなりの読み応えのあるミステリー作品を求めている方にはお勧めの作家さんでもあります。

[投稿日] 2015年10月19日  [最終更新日] 2015年10月19日
Pocket

おすすめの小説

読み応えのある警察小説作家

多数ある面白い作品の中のごく一部です。
横山 秀夫
どの作品も、従来の警察小説とは視点を異にしています。NHKでドラマ化もされた「64(ロクヨン)」にしても主人公は広報官です。また検視官や新聞記者など多彩です。勿論普通に捜査官が主人公になっている作品もあります。どの作品もよく練り上げられている感じが、読んでいて物語の厚みとなって感じられます。
松本 清張
社会派推理小説界の大御所であり、あらためて言うまでもありません。どの作品も読みごたえは十分です。「点と線」に代表されるそのトリックも含めた、動機重視のその作分はあとに続く作家たちに大きな影響を与えた人です。
高村 薫
マークスの山」で直木賞を受賞されています。このあと「合田雄一郎シリーズ」として人気シリーズ化されています。実に読みごたえのある重厚な小説です。
雫井 脩介
この作家には、警察小説と呼べるものはあまりありません。ただ、あるミスで左遷された警察官が、再度第一線に呼び戻され、誘拐事件の犯人にテレビを通じて話かける「犯人に告ぐ」が実に面白い小説でした。ほかには「ビター・ブラッド」くらいしかないと思います。
乃南 アサ
直木賞を受賞した「凍える牙」は「女刑事・音道貴子シリーズ」の一冊で、重厚な作品で、十分な読み応えがあり、この人の代表作と言えるでしょう。
佐々木 譲
作品のジャンルは多岐にわたるようですが、とくに警察ものが人気が高い作家さんのようです。「警官の血」などは、親子三代にわたり警察官となった男達の人生を描く大河小説で、2007年の日本冒険小説協会大賞を受賞しており、直木賞のノミネート作でもあります。他に「笑う警官」を始めとする『道警シリーズ』も人気があります。
今野 敏
この人も種々のジャンルの作品を出されています。でも、さすがに自ら空手塾を主宰されている程のことはあり、「孤拳伝」などの格闘小説は定評があります。他に「隠蔽捜査」などの警察ものは、独特の雰囲気を持っていて、実に面白いシリーズを多数書かれています。
東野 圭吾
超のつく人気作家であり、何も言うことはありません。私は「新参者」を読んでから、そのうまさに驚き、本格的にはまってしまいました。特に卒業―雪月花殺人ゲームを最初とする「加賀恭一郎シリーズ」は、この作家の「ガリレオシリーズ」と並ぶ超人気シリーズであり、その社会性、人間描写等、私の好みにはまりました。

おすすめの警察小説作家(海外)

海外の警察小説はあまり読んでいません。
エド・マクベイン
「警察小説」というジャンルを確立した作品である「87分署シリーズ 」を抜きにしては語れません。チームとしての警察官が個々の事件を解決していきます。設定は少々古いでしょうが面白さは変わりません。
シューヴァル&ヴァールー
スウェーデンのストックホルム警視庁の殺人課主任であるマルティン・ベックの活躍が描かれる「マルティン・ベックシリーズ」しか読んでいません。しかしこれが面白い。第四作の「笑う警官」はエドガー賞長編賞を受賞しています。
アーナルデュル・インドリダソン
還暦を越えてから読んだ作品です。「エーレンデュル警部シリーズ」の一冊である「湿地」は派手さはありません。しかし、アイスランドを舞台に展開される地道な捜査はちょっと毛色が違い、何となく惹かれます。北ヨーロッパで最も優れたミステリに贈られるガラスの鍵賞を受賞しています。

関連リンク