松本 清張 雑感
この人から社会派推理小説という言葉が言われ始めました。
それまでの推理小説が謎解きの側面を見ていたのに対し、人間をより深く描くことを重視し、動機等の描写に重きを置いていったそうです。それでいて、推理小説という枠組みは外さないのですからそれまでの推理小説ファンからも大いに受け入れられ、水上勉や森村誠一などといった作家たちが生まれたのです。
一方、「日本の黒い霧」などのノンフィクションも相当の評価があり、作家の粋を超えていると言われたそうです。
個人的にも、この人を知るまではそれまでの推理小説(探偵小説)は謎解きありきが当たり前と思っており、嫌いではないものの決してのめりこむ対象ではありませんでした。しかし、動機等を重視して描写すると、物語に厚みが出るとでも言うのでしょうか、SFでもファンタジーでも、更にはどんな荒唐無稽な物語でも、その物語の中でのリアリティーが無いと感情移入できない私にとってはこの傾向は個人の好みに合致するものでした。
最初に読んだこの作家の本が何だったのか、今ではよく覚えてはいませんが、高校生の頃「点と線」「ゼロの焦点」「球形の荒野」あたりだったと思います。その後学生時代にかけてこの作家の作品は初期作品の大半は読みましたが今ではその内容も殆ど覚えていません。また後期作品は半分も読んでおらず、評論、ノンフィクションに至っては殆ど読んでいません。
というわけで、作品紹介も印象が強くそれなりに覚えている2作品だけにしました。しかし、物語の格調の高さも含めてこの作家の作品の面白さは皆の認めるところでしょう
[投稿日] 2015年04月19日 [最終更新日] 2015年5月23日