松本 清張

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九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件、その裏にひそむ恐るべき奸計! 汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。列車時刻表を駆使したリアリスティックな状況設定で推理小説界に“社会派”の新風を吹きこみ、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作。(内容紹介より)

 

松本清張の代表作といっても過言ではない、名作の誉れ高い長編の推理小説です。

 

あまりにも有名な東京駅での空白の4分間が語られます。この作品が長編第一作なのですが、読者から絶大な支持を得ました。

政界の汚職事件に絡む動機を設定した松本清張は、以後社会派と称されるようになり、同様にリアリティーを追求した推理小説を次々と出版することになるのです。

 

いわゆる時刻表トリックの名作で改めて紹介するまでもないとは思いますが、それまでのトリック重視の物語から、トリックも十分に練り挙げられながら、なおかつ殺害の動機をも、実社会に根差した現実性を十分に持った汚職がらみの事件として仕立て上げられた作品です。

更に言えば、全体の構成をも重厚に仕上げていくその力量は、一時代を作り上げた松本清張という作家ならではのものだと思います。

 

急行列車での移動が当たり前で、新幹線などなかった時代の物語です。その時代背景を読みとることもまた面白いのではないでしょうか。

今では推理小説の古典と言うべき一冊です。

[投稿日]2015年04月19日  [最終更新日]2019年3月16日
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