藤井 太洋 雑感
1971年、奄美大島生まれ。
国際基督教大学を中途退学後、舞台美術やDTP制作、展示グラフィックディレクター、ソフトウェア開発を経て、現在はフリーランス。2012年7月 電子書籍によるセルフ・パブリッシングで『Gene Mapper -core-』を発表する。
2013年4月 『Gene Mapper -core-』を増補改稿した『Gene Mapper -full build-』が早川書房から出版され単行本デビュー。
2015年 『オービタル・クラウド』がベストSF2014[国内篇]の第1位に選ばれ、第35回日本SF大賞、第46回星雲賞(日本部門)を受賞。
同年、第18代日本SF作家クラブ会長に就任する。
(出典は本人のブログやウィキペディア)
何といっても、この作家はセルフ・パブリッシングで出した書籍が人気になり、大手出版社から紙媒体で出版されるようになったという経歴が特異です。「セルフ・パブリッシング」とは個人での電子書籍出版のことであり、「自費出版」とは紙の書籍での出版のことです。
個人でネット上に発表した小説が人気を呼び、大手がそれに目をつけるということは、めったにあることではありません。
日本でいえば柳内たくみの『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』が同様な経緯でアルファポリスから出版されています。
アメリカで同様に個人でネット上に発表していた作品が人気を呼んだという小説にアンディ・ウィアーという人の『火星の人』という作品があります。これは面白かった。久しぶりにSFらしいSFで、その素晴らしさに「エイリアン」のリドリー・スコット監督により、マット・デイモン主演での映画化という何とも壮大な話になっています。
藤井太洋という作家は現在はフリーとなっておられるようですが、『Gene Mapper』発表の頃は現役のプログラマーだったということです。プログラマーと一口には言ってもその内容は実に専門的に分化しています。その点藤井太洋氏は少なくともウェブ関連の仕事も手掛けておられるようで、作品にはその知識が反映されているようです。
藤井太洋が最初にセルフ・パブリッシングで出したのが2012年7月の『Gene Mapper』だということですので、まだ新人作家と言っても良い作家さんです。その新人を会長に据えるのですから、何かと話題の日本SF作家クラブも大したものだと思います。
近年のSFはあまり読まなくなった私ですが、これからは読んでみようかという気にさせられた作家さんのひとりでもあります。
なお、『Gene Mapper -core- (ジーン・マッパー コア)』は、『Gene Mapper』のサイトで第四章の途中までを、またアマゾンのKindleストアでの立ち読みも可能です。