光瀬 龍 雑感
小学生のころからSFが好きで光瀬龍のジュブナイルSF小説を読んでいたのですが、ハヤカワ・ノヴェルズ(と言っていたと思います。今の「ハヤカワ文庫NV」)の存在を知り、アーサー・C・クラークやハインラインに衝撃を受けていた頃、この光瀬龍や小松左京の本に出会い、日本のSFも捨てたものじゃない、とのめり込んで行きました。
読んだのがもう40年以上も前のことになるので内容を覚えていない作品が多いのですが、その殆どの作品が壮大な時の流れをベースとして、人間存在の矮小さを訴えていたように思います。
今回この文章を書くにあたり少しネットで調べてみたところ、この作家はその無常性を語られることが多いようです。でも、悠久の宇宙という空間的広がりと、過去から未来への時の流れを見るとき、個々の人間のはかなさを思い知らされるのは当然の様な気もします。
勿論、ハードウエア等の設定の古さには眼を閉じて頂くとして、SFがSFらしくあった頃の物語の面白さを、究極にまで味あわせてくれる作品ではないでしょうか。ただ、決して明るい未来を描いているわけではありませんのでその点は注意してください。
残念ながら作品のほとんどは古書若しくは図書館で借りるしかないようです。それでも是非読んでもらいたい作家の一人です。
[投稿日] 2015年04月20日 [最終更新日] 2015年5月23日