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光瀬 龍 雑感

小学生のころからSFが好きで光瀬龍のジュブナイルSF小説を読んでいたのですが、ハヤカワ・ノヴェルズ(と言っていたと思います。今の「ハヤカワ文庫NV」)の存在を知り、アーサー・C・クラークやハインラインに衝撃を受けていた頃、この光瀬龍や小松左京の本に出会い、日本のSFも捨てたものじゃない、とのめり込んで行きました。

読んだのがもう40年以上も前のことになるので内容を覚えていない作品が多いのですが、その殆どの作品が壮大な時の流れをベースとして、人間存在の矮小さを訴えていたように思います。

今回この文章を書くにあたり少しネットで調べてみたところ、この作家はその無常性を語られることが多いようです。でも、悠久の宇宙という空間的広がりと、過去から未来への時の流れを見るとき、個々の人間のはかなさを思い知らされるのは当然の様な気もします。

勿論、ハードウエア等の設定の古さには眼を閉じて頂くとして、SFがSFらしくあった頃の物語の面白さを、究極にまで味あわせてくれる作品ではないでしょうか。ただ、決して明るい未来を描いているわけではありませんのでその点は注意してください。

残念ながら作品のほとんどは古書若しくは図書館で借りるしかないようです。それでも是非読んでもらいたい作家の一人です。

[投稿日] 2015年04月20日  [最終更新日] 2015年5月23日

おすすめの小説

おすすめのSF小説作家

近年、とくににほんのSF小説からは遠ざかっているので、昔の作家さんばかりになります。
小松 左京
亡くなられて数年が経ちますが、日本SF界の重鎮であることな間違いのないところです。更には、SFというジャンルを超えた巨人とも言え、その著作は多岐にわたります。果しなき流れの果にはクラークの作品にも劣らない壮大な物語です。
半村 良
伝奇SF小説の第一人者です。「妖星伝」のように壮大な法螺話を、サービス満点のエンターテインメント小説に仕上げる腕は抜群です。一方「雨やどり」のような人情話も書かれています。
堀 晃
SF界の重鎮の一人で、ハードSF小説の書き手です。太陽風交点は第1回日本SF大賞を受賞しています。この作品は出版社と作家との間での裁判にまで発展しました。
眉村 卓
日本のSF小説界の黎明期から活躍されている作家さんの一人です。最も有名さ作品としては司政官シリーズが挙げられると思います。「連邦経営機構」が惑星統治のために派遣するエリート官僚官僚のことを言い、中短編7作、長編2作で成っています。
小川 一水
民間企業による月面開発計画を描いた第六大陸で第35回星雲賞、日本長編部門賞を受賞し、以降星雲賞を数度受賞されています。特に天冥の標は全10巻という作品で、SFの種々の要素が入った作品です。