『雨降ノ山 ─ 居眠り磐音江戸双紙 6』とは
本書『雨降ノ山 ─ 居眠り磐音江戸双紙 6』は、『居眠り磐音江戸双紙シリーズ』の第六巻の、文庫本で357頁の長編の痛快時代小説です。
シリーズの序盤での物語の主な流れである関前藩の財政再建への道筋が見えてきてなか、磐根の波乱に満ちた日常は続いていきます。
『雨降ノ山 ─ 居眠り磐音江戸双紙 6』の簡単なあらすじ
夏を彩る大川の川開きを間近に控えた頃、深川六間堀の金兵衛長屋に住む浪人、坂崎磐音は日々の生計に追われていた。川開きの当日、両替商の今津屋から花火見物の納涼船の護衛を頼まれる。不逞の輩が出没するというのだが、思わぬ女難にも見舞われ…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を斬る!痛快時代小説第六弾。(「BOOK」データベースより)
藩実収のおよそ五年分の借財がある豊後関前藩は、今津屋の助けを借りて関前藩の海産物を江戸で高値で卸し増収をはかるという財政再建に着手したところだった。
その道筋をつけた磐根は、今津屋吉右衛門とその妻お艶、艶の世話係のおこんと荷物持ちの小僧宮松の四人と共に大山詣でをすることになった。
旅の途中でならず者の駕籠かきや無頼の侍らの襲撃を退けた磐根だったが、艶の具合が悪くなってしまう。
お艶は数年前から体の不調を自覚していたはずであり、今回の大山詣でも自分の死を自覚したお艶の実家への里帰りをも兼ねた意思だったのだろうと思われた。
磐根がお艶を背負っての参拝を済ませた一行は思いもかけず伊勢原滞在が長引き、磐根とおこん、宮松は先に江戸へと帰るのだった。
そんな中、吉右衛門、お艶らが滞在する伊勢原宿子安村から便りが届いた。
『雨降ノ山 ─ 居眠り磐音江戸双紙 6』の感想
本書『雨降ノ山 ─ 居眠り磐音江戸双紙 6』は、前巻で奈緒を追っての旅も終わり、日常を取り戻した磐根でした。
本書からは磐根がかつて仕えていた関前藩の財政再建という難題に藩の外から道筋をつける姿が描かれます。
ただ、そこでも今津屋の力を借りることとなり、磐根の今津屋との付き合いもより深くなっていくのでした。
痛快時代小説である本『居眠り磐音江戸双紙シリーズ』では、物語の軸となる関前藩の財政再建と、今津屋に降りかかる災難や周りの人々の困りごとをともに助けながら、それでも力強く生きていく磐根の姿に惹かれるのです。
本書『雨降ノ山』では、今津屋夫婦の大山詣でに付き添いながら襲い掛かる暴漢を撃退する磐根の姿があります。
当然のことながら磐根の剣が暴漢を撃退し、今津屋一行を無事に送り届けるのです
このほかにも今津屋の両国川開きで仕立てる屋根船の護衛や、騙りの安五郎こと一蔵という無宿者を追って危ない目に逢いかける幸吉を助けたりと、あい変らずに忙しい磐根です。
本書『雨降ノ山 ─ 居眠り磐音江戸双紙 6』はこのように、シリーズを通しての出来事としての関前藩の財政再建と、各巻のなかの章単位で巻き起こる出来事という二本立ての出来事に対しての磐根の対応という定番の形で話は進みます。
シリーズものですから、こうした構成が基本となり、これまでも、そしてこれからも進んでいくことになります。
そうした中で新しい敵の存在が語られ、新規の魅力を持ったシリーズとして展開されていくことになるのです。