時は江戸・文政年間。秋月六平太は、信州十河藩の供番(篭を守るボディガード)を勤めていたが、十年前、藩の権力抗争に巻き込まれ、お役御免となり浪人となった。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添い屋をして糊口をしのぐ日々だ。血のつながらない妹・佐和は、六平太の再士官を夢見て、浅草元鳥越の自宅を守りながら、裁縫仕事で家計を支えている。相惚れで髪結いのおりきが住む音羽と元鳥越を行き来する六平太だが、付添い先で出会う武家の横暴や女を食い物にする悪党は許さない。立身流兵法が一閃、江戸の悪を斬る。時代劇の超大物脚本家、小説デビュー! (「BOOK」データベースより)
「雨祝い」、「初浴衣」、「留め女」、「祝言」の四編の物語が収められた短編集です。
一話目では登場人物の紹介があり、四話目の「祝言」で妹佐和が嫁ぐまでの物語です。
信州十河藩の供番を勤めていた秋月六平太は、藩の権力抗争のあおりを受けてお役御免となり、江戸に出てきたのだった。血のつながらない妹の佐和が住む浅草の自宅にはたまにしか帰らない六平太であったが、いつもは髪結いのおりきの家に転がり込んでいて、大店の娘の付き添いなどで収入を得ていた。そして、道場の後輩でもある同心の矢島新九郎の助けを得ながら、何かと巻き込まれる事件を解決する六平太だった。
ネットで見つけた作家による作品で、思いのほかに面白い痛快活劇小説でした。それもそのはず、紹介ページを見てもらえばわかるように、作者は『前略おふくろ様』なども手掛けていた著名な脚本家だったのです。
宮仕えをしていた過去を持つ剣の達人が、血のつながらない妹のそばに居づらくなり、他の女の家に転がり込んでいるという設定は、決して珍しいものではありませんが、作者の筆の運び方が達者であるためか惹きこまれてしまいました。
多分このシリーズもしばらくは読み続けるシリーズの一つになると思います。