あさの あつこ

弥勒シリーズ

イラスト1
Pocket

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは 東雲の途 [ あさのあつこ ] へ。


橋の下で見つかった男の屍体の中から瑠璃が見つかった。探索を始めた定町廻り同心の木暮信次郎は、小間物問屋の遠野屋清之介が何かを握っているとにらむ。そして、清之介は自らの過去と向き合うため、岡っ引きの伊佐治と遠き西の生国へ。そこで彼らを待っていたものは…。著者がシリーズ史上ないほど壮大なスケールで描く「生と死」。超絶の「弥勒」シリーズ第四弾。(「BOOK」データベースより)

「弥勒」シリーズ第四弾になる長編小説です。

シリーズ第二作『夜叉桜』、そして前作『木練柿』と、少しずつ清之介の過去が明らかにされてきていたのですが、ついに本書では清之介は自らの過去へと向き合うために生国へと旅立つことになり、一段と深く清之介の過去と向き合うことになります。

ある男の死体から見つかった瑠璃が、清之介の乳母のおふじから清之介の故郷の藩の権力闘争に、そして清之介の兄へと連なる様相を見せてきたところから、清之介は自らの生国へと旅立つ決意をします。この旅の決意の陰には伊佐治の言葉があったからなのか、清之介は岡っ引きの伊佐治のこの旅への同行も嫌がりません。

清之介の旅の結末には何が待ち受けているのか全く分かりません。分からないというよりは、陰惨な過去が明らかになり、更なる闇を抱えることになりかねない旅ではあるのです。しかし、清之介が一歩を踏み出そうとするそのことは、未来に明るさを感じる一助でもあります。

今回は木暮信次郎の活躍する場面はほとんどありません。それでも、この物語には木暮信次郎の存在がはっきりと感じられます。それはとりもなおさず、作者の人物造形がうまくいっているからに他ならないと思われます。

信次郎と伊佐治、そして清之介という三人の物語は更に深みを増し、目を離せなくなっているようです。

[投稿日]2017年04月19日  [最終更新日]2017年4月19日
Pocket

おすすめの小説

経済の面からみた時代小説

時代小説をちょっと異なる側面から見てみました。下記は経済の要素が強い物語です。
家康、江戸を建てる ( 門井 慶喜 )
徳川家康が江戸に新たな街づくりを始めるに際しての物語で、全五話の短編からなる時代小説集で、第155回直木賞候補になった作品です。
江戸を造った男 ( 伊東 潤 )
明暦の大火が起きたとき、誰よりも早く木曽へ行き、木材を買い入れて江戸の復興に尽力し富を築いた男がいた。名を河村瑞賢という。この男の商売はきわめて清潔であったため、結果として最高の社会奉仕となった。
鬼はもとより ( 青山 文平 )
本書は武士の世界に経済の側面から光が当てられています。主人公抄一郎は「国を大元から立て直す仕法」の背骨を掴み取り、その仕法を別の藩で試すのですが、その流れが実にダイナミックに描写されています。
江戸打入り ( 半村 良 )
秀吉から事実上関東移封を命じられた家康の江戸への移封の話を、下級武士から見た物語。大半は普請担当の足軽が、荷駄を運び、橋を架け、宿営の準備をする様子が描かれています
風の市兵衛シリーズ ( 辻堂 魁 )
主人公が「渡り用人」というユニークな設定で、主人公がそろばんを手に活躍します。痛快と言うにふさわしい、とても読み易いシリーズです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です