本『めおと相談屋奮闘記シリーズ』は、『よろず相談屋奮闘記シリーズ』の主人公信吾が波乃と夫婦になり、シリーズ名も『めおと相談屋奮闘記シリーズ』へと変わったものです。
野口卓の豊富な知識量を示してくれ、そして若干のファンタジックな側面を持つ、しかし個人的には物語としては少しの関心しか持つことができないシリーズです。
『めおと相談屋奮闘記シリーズ』について
『よろず相談屋奮闘記シリーズ』の主人公信吾が、阿部川町の楽器商「春秋堂」の次女・波乃と一緒になり、夫婦で相談にあたることとなって、シリーズ名も『よろず相談屋奮闘記シリーズ』から『めおと相談屋奮闘記シリーズ』へと変わったものです。
この『めおと相談屋奮闘記シリーズ』の登場人物は先にも述べたように、主人公が信吾という若者で、老舗料理屋「宮戸屋」の跡取り息子でしたが、幼い時にかかった大病のためにときに記憶が抜け落ちるようになります。
代わりに生き物の言葉が分かるようになった信吾は、これは天命かもしれないと思い、世のため人のために生きようと決心し、そのためにも護身用に武術を習い腕をあげます。
世のため人のために「よろず相談屋」を始めることにした信吾は、自分は独立して「宮戸屋」の跡取りを弟に譲り、食べるための将棋会所「駒形」と、世のための「よろず相談屋」を開業することにするのでした。
このような点は『よろず相談屋奮闘記シリーズ』では詳しく書いてあるところだと思います。
動物との会話の場面など、相談屋を開設するきっかけにもなっていそうであり、ファンタジーとまでは言えないまでもファンタジーの匂いを持つシリーズだということはできるかもしれません。
信吾の活躍は瓦版にも取り上げられ話題になります。
その瓦版を読んで、こんな男のところに押しかけ女房になりたいとやってきたのが阿部川町の楽器商「春秋堂」の次女である波乃という女です。
それに、波乃の世話係であり教育係でもあり母親のヨネがつけて寄越したモトという女中がいます。
他に、将棋会所で信吾の手伝いをしている常吉と豊島屋の隠居で将棋会所「駒形」の家主の甚兵衛、それに界隈を縄張りとする岡っ引きのマムシこと権六がたびたび顔を出します。
こうして、夫婦二人が共同して相談事に乗りこれを解決していく、痛快小説とは言いにくく、かといって人情ものとも言えないだろう、青春時代小説というしかない本書『めおと相談屋奮闘記シリーズ』です。
『よろず相談屋奮闘記シリーズ』をまだ読んでいないので詳しいことは分かりません。図書館にあったのが『次から次へと めおと相談屋奮闘記』からですので仕方ないのです。
自分で買うべきなのでしょうが、今のところ図書館に頼りきりです。
『めおと相談屋奮闘記シリーズ』は決して私の個人的な好みのシリーズだとは言えませんが、野口卓の物語自体は好きな部類に入るのでシリーズは最後まで読むと思います。