八神俊彦は自分の薄汚れた人生に区切りをつけるため、骨髄ドナーとなり白血病患者を救おうとしていた。しかし移植を目前にして、都内で連続猟奇殺人が発生。事件に巻き込まれ、容疑者として手配された八神は、命がけの逃走を開始する―。八神を追う警察、謎の集団、そして殺戮者・墓掘人。八神は追跡をかわし、患者の命を救うことが出来るのか?稀代のページターナーが放つ、ノンストップ・エンタテインメント。(「BOOK」データベースより)
久しぶりにこんなスピード感のある小説を読みました。10年位前に読んだ『二重螺旋の悪魔』、『ソリトンの悪魔』の梅原克文以来かもしれません。外国で言えばD・R・クーンツの『ファントム』、ロバート・R・マキャモンの『スティンガー』といったところでしょう。
そうした各作品にはどことなくホラーチックな匂いというか、クリーチャーの存在が大きいのですが、本作品は確かに舞台設定にはホラーテイストはあるにしても、アクション性の方が強いところがちょっと異なる気がします。
本書はノンストップアクション小説なのです。
死体の盗難事件という妙な事件を担当する刑事同士の会話から幕が開きます。
本書の主人公八神俊彦は、骨髄移植のドナーとなって患者として苦しんでいる人を助けようとする、初めての善行をする気になったワルです。
一方、煮えたぎる風呂場で茹でられている死体や見えない炎で焼き殺される女などの連続殺人が発生して、八神が犯人として警察に追われることになります。
本書『グレイヴディッガー』は、この八神俊彦の一夜の逃避行を描いた作品です。
一気に読んでしまいました。
この作家の他の作品と異なり、一番エンターテインメント性が強い本ではないでしょうか。他のことは何も考えずに、ただ、単純に物語世界に浸ればいい。そういう作品です。
ジェットコースター作品が好きな人には絶対お勧めです。面白いです。