湯瀬直之進を用心棒に雇おうとしていた呉服商の船越屋岐助が殺され、殺害現場から手代の与野造が姿を消した。葬儀のあと、岐助の女房と娘に請われた直之進は与野造の行方を追いはじめる。一方、南町奉行所同心樺山富士太郎と中間の珠吉は、町医者殺しを探索していたが…。直之進は次々と起こる殺しの連鎖を食い止められるのか!?人気書き下ろし長編時代小説第二十七弾。(「BOOK」データベースより)
洞軒という名の町医者が殺され、南町奉行所同心樺山富士太郎は早々に犯人の目星は付けることができたのですが、時間的な制約もあって、その殺害の方法が分からずにいました。
一方、呉服商の船越屋岐助からの用心棒の依頼を請けようとしていた湯瀬直之進でしたが、当の船越屋は殺されてしまいます。殺害現場から船越屋手代の与野造が逃げる姿を目撃する湯瀬直之進でしたが、船越屋岐助を信頼していた直之進は、船越屋岐助が信頼していた与野造以外に犯人がいると確信し、やはり与野造は犯人ではないと信じる船越屋の女房と娘の依頼で、与野造を捜し出し、更に与野造の用心棒をするようにと依頼を受けるのでした。
本書はまさに捕物帳であり、樺山富士太郎の、町医者はどのようにして殺されたのか、という謎の解明を軸に描かれています。
と同時に、直之進に関してもまた、船越屋岐助は誰に殺されたのか、また与野造は現場から逃げた理由は何か、という謎について描かれています。
物語としては、好敵手である倉田佐之助との戦いをメインに描かれていたシリーズ当初のタッチのほうが好みではあったのです。しかし、このシリーズの現在の姿もまた新たに構築された別なシリーズもののようで、それなりの楽しさ、面白さを感じることができています。